わたしとビューエルのお付き合いは10年。その間いろんなメンテナンスやカスタムを行なってきたんですが、その中で最も苦労したと感じるのは、ぶっちぎりでドライブベルトを強化品に交換した作業です。
そう感じる要因の大部分は作業当時のわたしの経験の乏しさだと思うんですが、それにしてもフロントプーリーの固さは凶悪でした。
スポーツスター系エンジンではニュートラルスイッチの故障がメジャーなトラブルのようですが、ニュートラルスイッチの交換時にもこのフロントプーリーを取り外す必要があります。しかしながらこのプーリーの固定ナットがあまりに固く、巷でもニュートラルスイッチ交換作業の最大の壁となっているようですね。
そんな手強いフロントプーリーの取り外し作業ですが、またまた挑戦する機会がやってきました。
さて、こちらは随分前に衝動買いしたビューエル XB9SXの腰下。
クランクケースとクランクはもう有り余っているから要らないんですが、アイソレーターとトランスミッション、サイレンサーステーなどのセットとして考えると破格のお値段だったので、つい買っちゃったのです。自分で買ったものですが、クランクケースはすごく嵩張るので、とても邪魔なんですよね…
業者さんから購入したんですが、例の凶悪なフロントプーリーは組み付けられたまま。解体する価値がなかったのか、はたまた解体することすら出来なかったのかはわかりませんが、とにかくプーリーはくっついたまま。わたしが欲しいトランスミッションを抜き取る為にも、まずはこいつを取り外さなければなりません。
とりあえずプーリーを固定するナットの回り止めの取り外し。ここも固着していることが多いらしいけど、これまでわたしは特に苦労したことはありません。今回も楽勝でした。
問題はこいつ。見るからに手強そうです。新車から一度も取り外しされていない場合、こいつの固さはマジで凶悪なレベルです。
ただね、いくら固いといっても以前ドライブベルトを交換したときから設備もスキルも(多分)向上しているんだから、少し苦労したとしてもなんとか取り外すことができるはず…。そんなふうに考えていましたが、そんな甘っちょろい期待は木っ端微塵に砕け散りました。
もうね、全然はずれないの。
車体に搭載されている状態ならまだやりようもあるんですが、クランクケース状態だとプーリー側をがっちりと強力に固定できないのがより難しいところ。プーリー自体の動きを固定することができても、どうしてもクランクケースごと転がってしまうんですよね。
そうなるとインパクトレンチの出番なんですが、手持ちのアストロプロダクツ製のインパクトレンチでは全く太刀打ちできないのは既に実証済み。 ドライブプーリーを固定するナットの締め付けトルク自体は67.8Nm。それに対してこのインパクトレンチはMAXトルク320Nmを謳う商品なのですが…。フロントプーリーの固定ナットには走行中締め付ける方向に力が加わることもあり、きっと強烈に締め付けられている+固着しているのでしょう。
困ったわたしは清水から飛び降りる気持ちで新兵器の投入を決意。マキタ充電式では最強のインパクトレンチです(マキタがそう謳っているんだけど、マキタにはよりハイパワーな40V・1350Nmのモデルもあるんだけど、どういうことなんでしょ?)。
それでも少し苦労しましたが、なんとか無事外れました。800Nmのパワーは偉大です。こいつでも苦労したということからも、フロントプーリーがいかに固着しているかが分かります。まさに、凶悪。
なお、投資金額はびっくり5万円オーバー。どうしてもプーリーを取り外したかったから仕方がないんだけど、元を取れる気がさっぱりしません…。