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強化ベルトへの交換に必要な部品と必要な工具が揃ったので、いよいよ作業の開始です。
最大の難関、フロントプーリーの取り外し
まずは一連の作業で最大の難関とされている悪名高きフロントプーリーの取り外しに挑戦。
フロントプーリーを固定している例のバカでかいナットにアクセスする為、ステップ一式とフロントプーリーカバーを取り外し。ここら辺の部品は特に問題なく取り外すことができるでしょう。
例のバカでかいナットには四角い形状の周り止めワッシャがついているので、まずはヘックスボルト2本を外して回り止めワッシャを取り外し。
ここのボルト2本もそこそこ硬い場合があるという意見も聞きますが、すんなり取り外しできました。
そしていよいよ例の1-7/8のプーリーを固定するバカでかいナットと勝負!新たに購入した320Nm(自称)の電動インパクトとコーケンソケットで勝負を挑みます。
駐車場に響き渡る、インパクトの作動音!!
・・・・。
全然緩まないんだけど!!(怒)
556をたくさん塗って、何日も放置し、その間毎日勝負を挑んだものの、一向に緩みません。毎日敗北。
締め付けトルク自体は67.8Nmなんですが、マニュアルにて指定されているロックタイト(赤)パワーと錆による固着パワーは噂通りかなり手強いようです。感心している場合じゃないけど、ここまでどーにもならないと笑っちゃうしかありません。
いろいろと努力はしましたが一向に緩む気配はないので、結局近所の某4輪のディーラーに持ち込み、エアインパクトでなんとか外してもらいました。
外してもらった、と言っても結構大変だったんです。業務用のエアーインパクトでも全然緩まなくて、あまりに緩まないもんだから本当に逆ネジ?と疑がわれる始末。た、たぶん、逆ネジだと思いますぅ…
もし壊れても文句言わないでよ!という言葉にビビりつつもインパクトで衝撃を与え続けること15分程。ようやく外すことができました。
そりゃ、非力な電動インパクトじゃ無理ですわ・・・
各パーツの取り外し
ナットを外すだけで1週間ほど掛かりましたが、後はそれ程厄介な箇所はないハズなので、サクサクバラしていきます。
2003年モデルは豪華なフルカバードのベルトガードが付いているのですが、これの取り外しが結構めんどくさいのです。
スイングアームブレース、ベルトガード表側部、ドライブベルト、リアホイール、ベルトカバー裏側部の順に取り外していきます。ベルトガードの穴の中にスイングアームを通す構造なので、ホイールを外さないとベルトガードを完全に外すことができません。
このベルトカバー、安全面やベルトへの異物の噛み込みの面では優れているんでしょうが、なんせ整備性が悪すぎます。以降の年式に採用されなくなったのはそこらへんが原因かもしれませんね。
取り外したリアホイールから更にドリブンプーリーを取り外し。
プーリーを固定するボルトもかなり硬かったものの、例の320Nmの電動インパクトでなんとか取り外すことができました。せっかく買ったんだから、少しでも役に立って良かった・・・。
思わぬ難関!アイドラープーリーのスタッドボルト
最後にアイドラープーリーの取り外し。
これは2つのナットを取り外して、ユニットごと手前に引っこ抜くだけの簡単構造・・・・のはずなんですが、全然外れません。外れる気配が、微塵も無い。
ブラケットがスタッドボルトから全く抜ける気配がないので、発想を変えてスタッドボルトの方を引き抜く作戦に。
ダブルナットで1本はあっさりと取り外すことができました。やったね!
ところが、もう1本は全く外れる気配なし。
これは困った・・・・。どうやら残る1本のスタッドボルトが錆びついて太ってしまったのか、完全にアルミ製のステーと一体化してしまっている様子。これは完全に想定外の事態です。ど、どうしよう…
そこで、急いでスタッドボルトリムーバーを買ってきました。名前の通り、スタッドボルトを抜き取るための工具です。
これを使っちゃうとスタッドボルトを傷つけてしまうのでスタッドボルトの再利用はできません。貴重な絶版車の部品を破壊するのは非常に心苦しいのですが、抜けないことにはどうにもならないので仕方がありません。
しかしながら…
結果は大失敗。
スタッドボルトリムーバーはきっちりとスタッドボルトを破壊しただけで、事態は悪化しただけとなりました。
ただ、この失敗からスタッドボルト自体はクランクケースと固着しておらず、今すぐにでもクランクケースから外れてくれそうな感じであることが分かりました。そして、やっぱりスタッドボルトはアイドラープーリーのブラケットと固着して一体化していることもわかりました。
つまり、ブラケットごとスタッドボルトを回すことができれば、クランクケースから両者は取り外すことができるのです。
でも今のままではブラケットはいろんなとこにぶつかるので、スタッドボルトと一緒に回すことはできません。じゃあ、どうするか!?
ステーが周りのいろんな部分に当たらないよう、ステーを切断すればいいじゃん!!
あぁ、貴重な純正部品が・・・!という気持ちもありますが、2003年モデルにしか使用できないアイドラープーリーのステーはどうせゴミのような価値しかありませんしね。
ブラケットを切断して周囲に干渉しなくなれば、あとはくるくる回せばスタッドボルトごと取り外すことができます。
やっと…抜けた…
DIYあるあるですが、予想していないところで苦戦してしまうものですね。こんなの完全に想定外。
このトラブルでスタッドボルトを新たに準備する必要が生じたので、作業はまた一時中断。ディーラーに聞いたところ、国内に在庫がないので納期はおよそ2~3週間のようです。そんなに中断しなきゃいけないのか・・・。
パーツと工具の再調達
強化ベルト交換の為に必要な部品と工具は既に集め終わっていますが、スタッドボルトリムーバーツールで破損させてしまったスタッドボルトを追加で調達しなければなりません。
ならばついでに、ということで待ち時間に間に他にもいろいろと追加で手配を行いました。
スタッドボルトとインストーラーツール
まずは2週間かけてアメリカからはるばるわたしの手元に届いたスタッドボルト。
上2本が新品、一番下の黒いのが取り外したもの古いもの。わずかに寸法が変わっている?純正部品ではメーカー問わずよくあることですね。
こちらはJIMSのスタッドボルトインストールツール。
先ほどのスタッドボルトを挿入するのに使う工具です。スタッドボルトと言えばDIYでは普通ダブルナットで挿入するんでしょうけど、せっかく新品のスタッドボルトを取り寄せたんだし、どうせなら丁寧に組み上げよう!という気持ちで購入してみました。JIMSなので結構なお値段がします。
一見するとただの長ナットのようですが、本体の中にはボールが仕込まれていたりと結構良い造りをしています。
Free Spiritsベルトテンショナー
そして、Free Spirits製ベルトテンショナー。ベルトスパナと呼んだりもしますね。
これはBUELL XBではお決まりのパーツ。アイドラープーリーのブラケット(ステー)と交換することで、リアサスを動きやすくしようというのが狙いなんだとか。
正直言うと、私はまだサスの動きとかそういうのはあんまり、というかさっぱり状態。なのでそういう目的では全く必要性を感じていなかったんだけど、一方でBUELL XBの尋常じゃない押し歩きの重さ(純正のアイドラープーリーによるベルトの張りすぎ)には本当にうんざり。
これに交換するとベルトの張りすぎが解消されるという噂を聞きつけ、思い切って今回の作業のついでに導入してみることにしました。
決して安価なパーツではないのですが、少しでも押し歩きの重さがマシになればなぁ。
アイドラープーリー自体は純正のものをそのまま使用するので、早速ベルトテンショナーに移植。
ガタつきがある場合は付属のシムで調節してね、ということで丁寧に何枚かシムワッシャーが用意されています。わたしの車両の場合、結局使いませんでしたが。
機能はまだ確認できないけど、少なくても見た目は明らかに純正よりかっちょよくなりましたので、もうすでに満足。
各部品を組みつけ
いろいろうまくいかなくて時間とお金がかかってしまいましたが、いよいよ組み付けです。
JIMSのスタッドボルトインストーラーに新品のスタッドボルトをセットして、
クランクケースに組み付け。
締めれるところまでは手で締めて、最後だけ工具を使うのはお約束。最初から工具を使うと様々な理由でネジ穴を痛める可能性があります。
インストーラーツールは専用の工具だけあって、ダブルナットで組み付けるよりも遥かに簡単にスタッドボルトを組み付けることができます。トルク管理出来る訳じゃないので無くてもそれ程問題無さそうだけど。
新しいプーリーをセットし、例のバカでかいナットを取り付け。
そして、汎用のベルト式プーリーホルダーでプーリーを固定し、トルクレンチできっちりと規定のトルクまで締め付けます。
ここも少々不安でしたが、結果的には汎用のプーリーホルダーでも規定トルクできっちり締め付けることができました。このベルトタイププーリーホルダー、そこそこ安いし使いやすいし、なかなかのアタリ工具です。
この工具のベルト部分を、Buell XBのドライブベルトに交換してやれば更に使いやすい工具になりそう。
リアホイールには強化ベルトに対応したドリブンプーリーの取り付け。
締め付けのトルクは50Nmとのことですが、取り外し時の苦労から考えるとこんな程度でいいの?ってイチイチ不安になってしまうような締め付け具合。
ホイールを装着して、アクスルを少しだけ差し込んだ状態で新品のベルトを取り付け。
XBモデルのアクスルシャフトはテーパー状なので、緩めにすればするほどホイールの遊びが大きくなり、ベルトを脱着しやすくなるのです。いわば、アクスルシャフトがベルトのテンショナーを兼ねてるんですね。調整機構は全く無いけど。
新品のベルトはかなり固いので、アクスルシャフトはこれでもかっていう位緩めておいた方が作業しやすいでしょう。
ベルトを前後プーリーに嵌め込み、最後にアクスルを締めていけばベルトに更にテンションが掛かっていきます。
しかしながら、アクスルシャフトゆるゆるでもベルトはぱっつんぱっつん状態。それなのに、そこから更に締め込むんですよ?締め込む度にギシギシ音がするので、もしかしてドライブベルトの品番間違えた?と疑いたくなるほどの張りっぷり。少々、怖い。いや、かなり怖い。
後は取り外した各パーツを元に戻したら、ようやく完成。
これでベルトが切れる可能性がゼロになったとは言えませんが、かなり低くなったはず。このドライブベルト周りは2003年式のXBモデルでの泣き所なので、この年式の車両であれば是非対策しておきたいところですね。