中古で買ったボロボロのロードバイクのフレームの補修作業【ビアンキ ヴィア ニローネ7 アルカーボン】

 

中古で購入したビアンキの『ヴィア ニローネ7 アルカーボン』。ロードバイクを象徴するパーツともいえるSTIレバーのオーバーホール作業を紹介しましたが、いくらSTIレバーをピッカピカにしても、それを取り付けるフレームが汚ければ全くの台無しというもの。

そんなわけで、今回はフレームの補修作業をおこなっていきましょう。

なお、以前にもご紹介させていただいたように残念ながらフレームの状態はちょっと悪いです。クラックはさすがに無いけど、ガリ傷、塗装の剥がれはたっぷりあります。エンブレムなどの貼る系のものは全滅状態だし、ワイヤーアジャスターのスチール部分は錆放題。

でもその代わりお安い価格で入手できたので、頑張ってできるだけ綺麗にしてやりましょう。

 

入手したら一番最初にしておきたいBB取り外し

ところで、実は今回の作業で一つだけやらかしそうになった作業があるんです。それはBBの取り外し

BB(ボトムベアリング)はクランクを取り付けるための軸受けユニット、もしくは軸と軸受けユニットが一体になった部品ですが、中古車の場合こいつが強烈に固着していることが稀にあります

正直にBBが固くて分解できませんでしたーって記載してくれたらこっちもちゃんと心づもりができるんですが、悲しいかな世の中そんな正直者ばかりではありません。本当に気が付いていない場合もあれば、少しでも高く売るためにわざと書かない人もきっといるはず。フレーム単体での販売なのに、なぜかBBが付属している商品は要警戒ですね。

 

なんでこんな話をするかというと、今回は見事にBBが固着していたんです。外すの、めーっちゃ大変でした。

正直に言ってくれていたら真っ先にこの取り外しに挑戦することもできますが、今回はそんなこと考えてもなかったのでこの段階で初めて固着に気が付いたのです。今回は上手く外すことができたけど、取り外すことができなかったらこのフレームは使えないんですよ?

なので、中古フレームを入手したらクラックのチェックとともにBBを取り外すことができるかどうかは真っ先に確認しましょう

 

フレームの洗浄

BBを取り外すことができたら、続けてフレームにくっついている他のものも全て取り外します。

ワイヤーガイドとかワイヤーテンショナー、ディレイラーハンガーなんかは簡単に取り外すことができるでしょう。一方で、前所有者の防犯登録シールなんかはめっちゃ大変です。ある程度の知識と技術が必要な固着したBBの取り外しとは違い、頑張れば誰でも取り外すことはできるんです。しかしながら、シールの粘着力が強力で、しかもそのくせすぐに千切れるので剥がすのにめっちゃ時間がかかります。

爪で地道にカリカリ削るか、使うにしてもフレームの塗装を痛めにくい樹脂製のスケッパーくらいじゃないでしょうかねぇ。

 

全ての部品とステッカー類を剥がしたら、汚いフレームを高圧洗浄機で隅々まで洗浄。高圧洗浄機って実際のところはあんまり洗浄力は高くないんだけど(ブラシを使って手作業でこする方がよっぽど強い)、手やブラシが入らない入り組んだ部分や細かい部分には無類の強さを誇ります。

 

アルミフレームのいいところはクロモリフレームのように錆びないところ。もちろん乾燥はしますが、それほど神経質にならなくてもいいのは気楽ですね。

 

ガリ傷の補修

これまでの作業でようやく下準備ができましたので、ようやくフレームのガリ傷を補修していきます。

このフレームはアルミ+塗装アルミ+カーボン+樹脂の2種類の素材からできています。カーボン部分にはアルミの芯材が入っているって聞いたけど、なんか意味あんのかな?って思っちゃいます。格好いいからいいんだけど。

塗装のガリ傷はタッチアップ塗装の後にポリッシュすれば簡単に補修することができるんだけど、厄介なのがこのカーボン部分のガリ傷。

ゲイリーフィッシャー・cake2GSのときにも苦労したけど、自転車のカーボン部分って表面の樹脂がめっちゃ薄いから、補修(とくに整形)がめっちゃ難しいんです。

 

作業の流れはゲイリーフィッシャー・cake2GSのときと同じ。カーボン表面の傷んだ樹脂層をデザインナイフで取り除き、脱脂してからカーボン用の樹脂を塗って、そして効果後に整形(削る)だけ。

言葉にすると僅か3ステップだけど、周囲となだらかになるように削るのはなかなか難しいです。樹脂層がぶ厚ければ簡単に誤魔化すことができるんだけど、周囲の樹脂層が薄いので、ちょっと削りすぎるとすぐにその下のカーボン層が露出してしまうのです。

 

下手くそなわたしは、とにかく回数を重ねるしかありません。幸いにしてこの作業は冬におこなっていたので、暖房の力で硬化時間をめっちゃ短縮することができました。削って、樹脂を塗って、また削ってをひたすら繰り返します。

 

ただ削る作業について冬は辛いですね。削るのはとても繊細な作業になるので、サンダーのような電動工具は使えません。耐水ペーパーを使った水研ぎで削っていきます。耐水ペーパーの番手はよっぽど粗く削る場合は#180なんかも使いますが、基本は#400程度でスタートし、#600→#800→#1000→#1500と少しづつあげていきます。

こんなに細かく上げる必要あるのかな?って思うかもしれませんが、少しづつ番手を上げないと最終的に綺麗な艶がでないんですよねー。まさに急がば回れ。

 

ポリッシュによる艶出し

傷の補修はこだわりだしたらキリがないんですが、自分の中で納得できる程度まで至ることができたら、仕上げとしてポリッシュによる艶出しをおこないましょう。

これはもうー、するとしないとでは全然違いますよ。ピカピカに艶が出るとまるで新品かのような雰囲気をゲットすることができます。

塗装面のポリッシュは専門のプロがおられるくらい奥の深い分野ですが、ド素人のわたしでもダブルアクションポリッシャーを使うことでそれなりに美しく仕上げることができます(わたしはRYOBIのPED-130KTを使用)。

 

併用するバフと研磨剤(コンパウンド)も非常に奥が深い世界だと思いますが、わたしはバフはTHE ONE(粗削り・中間研磨用のイエローバフと仕上げ用のウレタンバフ)、コンパウンドは3M(粗削り用のハード・1、中間研磨用のハード・2と仕上げ用)の製品をそれぞれ使用しています。物の良し悪しが分かるほどの経験はないけど、少なくとも使用するメーカーを統一することで番手による使い分けは迷わずに済むようになります。

 

こちらがTHE ONEのイエローバフと3Mのハード・1でポリッシュしたあとのフレーム。正直素人的にはこれでも全然綺麗。そもそもロードバイクなんて屋外で使用するスポーツ用品なんだから、あんまり神経質になるような艶に仕上げてどうすんの?って感じですよね。

 

・・・というのは分かっているんだけど、わたしはせっかくなんでもっとビッカビカに艶を出したいんだ!!

バフをイエローバフから仕上げ用ウレタンバフに、コンパウンドをハード・1からハード・2に変更し、再度ポリッシュ。

そしてその後別の仕上げ用バフと3Mのウルトラフィーナを使ってさらに仕上げのポリッシュを行います。

 

仕上げるとこんな感じ。画像じゃ艶って分かりにくいけど、パール塗装のキラキラがしっかり映り込んでいるのが分かるかと思います。研磨が甘いフレームや、ましてやクリアー層が劣化したフレームだととてもこうはいきませんよ。

 

カーボン部分も十分納得できるレベルにまで仕上がりました。この部分はガリ傷があったんですが、こうやって接写しても全然分からないでしょ?

どうせすぐに飛び石なので傷むかもしれませんが、せっかくフレーム単体の状態ですからね。素人でも手間暇かければこれくらいまでには仕上げることができます。

 

ボトルゲージのねじ穴の補修

これで作業は終わり・・・と思いきや、前のオーナーのやらかしがもう1点ありました。

ボトルゲージの取り付けねじが、これ以上入りません。はい、ネジ穴がハードに傷んでいますねー。

ヤフオクだから文句はいわないけど、BBと同様に意図的に隠していたんじゃないかと思わざるを得ません。

 

ボトルゲージの取り付けネジは何の変哲もないM5×0.8なので、どこにでも売っているネジ切りタップでさらってやれば簡単に修正できるはず。なくても大丈夫だとは思うけど、わたしはちゃんとカッティングペーストも使ってします。少量のチューブタイプは使用頻度が高くないDIYにもってこい。

 

焦らず少しづつ削るのがコツでしょうか。一気にねじ込まず、抵抗を感じながら数山ねじ込んだら元に戻す、というのを何回も繰り返します。最終的に抵抗を感じることなくスルスルねじ込めるようになったらオッケー。

 

無事ネジ穴も復活しました。

 

フレーム完成

そんな感じで、のんびり1か月程度の期間をかけてフレームの補修作業が完了しました。

作業時間の90%はカーボン部分の補修作業だったので、普通のアルミフレームだと数日で補修できると思います。それくらい、カーボンの補修は手間暇がかかるのです。ビューエル・XB9Rでも、ゲイリーフィッシャー・cake2GSでもそうなんですが、いっつももう二度としたくない・・・って思っちゃいます。カーボン好き+しょっちゅう傷をつけてしまうわたしが悪いんだけど。

でも苦労した甲斐もあり、つやつやになったフレームはとても格安で購入したものとは思えないほどの見栄え。これならピッカピカにしたSTIレバーとも相性抜群ですね。

 

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