26インチのオールドマウンテンバイクのフレームオーバーホール【補修編】

 

ちょっと古い26インチのフルサスマウンテンバイク、ゲイリーフィッシャーのケーキ2GSのフレームを使ったバラ完。せっかくフレーム単体なんだからってことで、前回はフレームをさらにバラバラに分解しました。

今回はそのオーバーホール作業の続き。バラバラに分解した各パーツの補修を行います。

 

チェーンステーの保護シール剥がし

まずは経年劣化で汚く変色したチェーンステーの保護シールを除去していきます。このシールは暴れたチェーンからフレームを守るためのもので、多くの自転車についていますよね。チェーンが暴れやすいマウンテンバイクでは、その重要はより高いもののはず。

このチェーンステーの保護部材ですが、こういうテープ系以外にも樹脂系やスポンジ系の素材を巻き付けるタイプもあるみたい。テープ系の素材はどうしても経年劣化で変色してしまいますから、今回のオーバーホールをきっかけに巻き付けるタイプに変更するのもありかも。

 

こんなのただ剥がすだけでしょ?って舐めてたんですが、予想通り剥がすこと自体は簡単なものの、そのあとに残る糊が超絶厄介でした。パーツクリーナーやステッカー剥がしで何回こすっても、いつまでもベタベタとした糊が残るのです。むっちゃしつこい。

 

こんな感じでペーパーウエスにたっぷりステッカー剥がしを染み込ませて半日ほど放置しても、全然糊はとれません。

 

結局糊だけを剥がすのは途中で諦めて、1500番の耐水ペーパーで水研ぎしてベタベタを取り除きました。

水研ぎはフレームの塗装にも多少なりともダメージを与えてしまう方法なのでできるだけ避けたかったんだけど、そうしないと埒があかなかったのです。水研ぎでついた研磨跡は後々ポリッシャーで取り除きます。

 

塗装剥がれのタッチアップ

チェーンがフレームを傷付けないように保護シールが貼られていたとしても、残念ながらシールのない部分がこのように盛大にダメージを受けています。街乗りではこんなにダメージを受ける程チェーンは暴れないでしょうから、きっと前のオーナーはマウンテンバイカーらしく山を走っていたのでしょうね。

 

そんなマウンテンバイカーの証ともいえるこの激しい塗装剥がれですが、どうやってタッチアップしようか結構悩んだんです。でもどうせこれからも痛むんだろうから、お手軽なタッチアップペンで補修することに。

 

タッチアップペンは使用する道具が少なくて済むとてもお手軽な方法なんですが、それなりに綺麗に仕上げようとするとなかなかの手間と時間がかかります。決してお手軽ではありません。

というのも、これはタッチアップペンに限った話じゃないんだけど、元々のメーカーの塗装と比べると我々素人のDIY塗装ではなかなか同じ厚みの塗膜を得ることができません。なので何回も何回も重ね塗りを行い、元々の塗装と同じ厚み、いや、削りしろを考慮するとそれよりも厚くする必要があるのです。

もちろん、乾いていないと重ね塗りなんて出来ないので、塗っては乾かしての繰り返しです。1回で作れる塗膜の厚さなんてめっちゃ薄いので、つまりむっちゃ時間が掛かります。

 

点状の傷やこれくらいの広さの傷なら簡単に塗料で埋めることができるんだけど、傷の面積が大きくなればなるほど塗料の厚みを出すのが難しくなり、難易度が上がります。どうせこれからも傷つくんだろうし、アルミが腐食しないように金属地が隠れればいいや~というくらいのおおらかな気持ちで作業を進めましょう。凝りだしたらキリがありません。

 

こうやってフレームの塗装の補修をしていて気が付いたんだけど、このフレームは単純な白色じゃなくて、ソリッドな白色とパール色のツートンカラーなんです。当然ですがわたしが用意したタッチアップペンではキラキラと輝くパール色に対応していません。傷がついていのは普段はほとんど見えないフレーム底部ですから、今回はパール部分の微妙な色調の差は気にせず補修を進めるとしましょう。

 

しっかりと厚みがでるまで重ね塗りできたら、周りと平滑になるように慎重に削ります。タッチアップペンの塗膜なんてめちゃくちゃ弱いですから、1500や2000番の耐水ペーパーでゆっくり水研ぎします。先程の保護シール剥がしと同様、仕上げはまた後ほど。

 

カーボン割れの補修

塗装のタッチアップも手間が掛かって面倒くさいけど、それ以上に面倒臭いのが割れたカーボン部分の補修。

正確には割れているのはカーボンじゃなくて表面のエポキシ樹脂。FRPと違い、ウェットカーボンは樹脂とカーボン繊維が一体化していないのです。これがドライカーボンだったり、ウェットカーボンでもカーボン繊維まで破断している場合は修理の難易度がガバッと上がります。今回のパターンは表面のエポキシ樹脂を補修するだけなので、素人でも修理は比較的簡単。

詳しい方法はこちらの投稿をどうぞ。バイクだろうが、自転車だろうがウェットカーボンの補修方法は同じです。

 

まずは割れたエポキシ樹脂をデザインナイフで弾き飛ばして、

 

新しくエポキシ樹脂を塗ります。割れなどのダメージのあるカーボンが白く濁っているのは空気が入りこんでいるから。その部分はいくら新しくエポキシ樹脂を塗っても綺麗にはならないので、最初にしっかりと取り除くのが綺麗に仕上げるコツです。使用する樹脂ですが、カーボンに対応しているものを使用しましょう。カーボン対応のものとそうでないものとでは、仕上がり後の透明度が明らかに違います。

 

エポキシ樹脂をしっかり硬化させたら、周りと平滑になるように削っていきます。

ただ削るだけなんだけどこの作業がとても難しい!

というのも、わたしはいつもついつい削りすぎてしまうのです。画像のように一部白っぽくなっているのは削りすぎている部分。削り過ぎたせいで下のカーボン繊維が露出してしまっているのです。

 

そうなるとまたエポキシ樹脂を塗るところからやり直し。下手するとこれを何回も繰り返すことになります。今回補修したこのゲイリーフィッシャーのフレームは自動車パーツやバイクのパーツよりもずっと表面の樹脂層が薄く、これまでで一番補修が難しかったです。樹脂層の薄さは軽さを追求した結果なのでしょうか。もう自転車のカーボン補修はしたくありません。

 

削り過ぎたー!を何度も何度も繰り返し、納得ができるまで補修を続けます。バイク(オートバイ)やロードバイクと違ってマウンテンバイクは転倒することの多い乗り物。あまり神経質になってもキリがないので、ほどほどで妥協する勇気も必要ですね。

 

仕上げはバフがけ

保護シール剥がし、塗装のタッチアップ、カーボンの補修、これらの作業ではいずれもフレームにペーパーがけを行っているので、このままではフレームの艶が失われたまま。

これらの工程の最後の仕上げに、しっかりとバフ掛けしてやってフレームを艶々にしてやりましょう。

わたしが使用しているのはRYOBIのダブルアクションポリシャー『PED-130KT』。研磨剤とかがセットになった所謂入門用の機種なんだけど、車磨き、バイク磨きで大活躍しているポリッシャーです。もちろん、自転車のフレームの艶出しにも効果は抜群。ただし、付属の研磨剤がイマイチなので、コンパクトだけは3Mの製品を別途購入して使用しています。

 

バフ掛けしたスイングアームのチェーンステー。近付いてじっくりみるとカーボン繊維に歪みがあるのが分かりますが、我ながら綺麗に補修できたもんだと自画自賛しています。この仕上がりですが、実際のところは最後のバフ掛けで誤魔化しているところが大きいんですけどね。簡単に綺麗な艶が出せるポリッシャーの力は偉大です。

 

アルミ地が露出するような傷はフレーム底部とチェーンステーに集中しているものの、細かい擦り傷程度であれば他の部分にもあります。こういった細かい擦り傷や色移りなんかは、

ポリッシャーによるバフ掛けであっという間に綺麗に。ポリッシャーってすごく便利でしょ?

3Mのコンパウンドといえば、ハード1・ハード2・ウルトラフィーナプレミアムの3種類が有名だけど、わたしはこのうちのハード2だけでバフ掛けしています。ウルトラフィーナプレミアムを使えばもっと艶々にできるんでしょうが、あまり艶がありすぎるのも維持管理が大変ですからね。ハード2だけでも十分艶々。

 

イントやカーボンの補修とバフ掛けにより、16年前のフレームとは思えないくらい綺麗になりました。ピッカピカ。マウンテンバイクは転倒することの多い乗り物ですが、せっかくここまで綺麗にしたんですから初心者のわたしが派手にコカしてズタボロにしないことを祈るばかりです。

 

スイングアームピボットのベアリング交換

前回フレームをバラバラに分解した際、スイングアームピボットのベアリングが錆びてダメダメになっていることが分かりました。痛んだベアリングはもうどうしようもないので、新しいベアリングを用意しましょう。

今回作業をしているゲイリーフィッシャーのケーキ2GSに使われていたベアリングは、ENDUROというメーカーのもの。このENDUROというメーカー、わたしは全く知りませんでした。調べてみるとかなり入手性が悪く、しかもそのせいか無茶苦茶高価だったのです。

でも大丈夫。ベアリングなんてほとんどの場合規格品なので、同じ寸法のものが各社から発売されています。今回は信頼と安心のNTNのベアリングを購入してきました。ENDUROのものと比べると1/10くらいのお値段ですが、それでも結構なお値段がしました。

 

当然ですが、大きさは全く同じです。シール部分の色は異なりますけどね。ベアリングは幅・外形・内径の寸法以外にも、ベアリングの隙間など様々な要素で商品が構成されており、正直なところわたしも全然理解できていません。しかしながら、今回のこのベアリングに関してはあまり汎用性がない寸法なのか、選択肢はこの購入したものだけでした。

 

新品のベアリングをフレームに組み込んだら、フレームの各パーツの補修は完了です。前回ベアリングを抜く時にも感じましたが、このベアリングの嵌め合い篏合はとても緩いです。錆びたベアリングですら緩かったのですから、新品のベアリングだと本当に緩々状態。こんなんじゃあやっぱりディスタンスカラーの調整なんてできっこありません。

 

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