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『フォーミュラEnjoy・FE2』低コストなフォーミュラレーシングカー

 

三重県は鈴鹿市といえば、モータースポーツ好きなら知らない人はいない、鈴鹿サーキットがある街。

鈴鹿サーキットはホンダが1962年に建造した、日本で初めての全面舗装コースであり、初めての国際レーシングコースなのだとか。実際に鈴鹿市に訪れると街中のあちこちでモータースポーツに関係するお店があり、今なおモータースポーツの街であることを実感することができます。ホンダの鈴鹿製作所もどーんと街中にありますしね。

そんな鈴鹿市ですから、パーキングエリアもモータースポーツ感全開。

パーキングエリアの名古屋方面側には、レーシングカーに乗った”みちまる”のオブジェが。みちまるはNEXCO中日本のキャラクターであり、三重県や鈴鹿市とは関係ありません。

 

売店コーナーの奥にはレーシングスーツの大御所、クシタニさんの展示スペースが。展示されていた革ツナギはヤレ感がたっぷりで、並々ならぬオーラを放っています。レーサーが実際に使っていたものなのでしょうか。

そして、パーキングエリアの一画にはレーシングカーまで展示されていました。

それがこちら。

正直レースにはまったく詳しくはないんだけど、これがフォーミュラーカーの仲間であることはわかりますよ。でもかなりコンパクト。

 

すぐそばにはちゃんと説明書が設置されておりました。こちらの車両はフォーミュラEnjoy・FE2というものなのだとか。“安全でローコスト”をコンセプトとし、鈴鹿サーキットとその近隣の業者さんで作り上げられた企画なんだそうです。

 

わたしもバイクが好きですから、多少なりともサーキットには興味があるんです。ただコースを走るだけなら走行会に参加するだけで達成できるかもしれませんが、それでもわたしからすると随分と敷居が高いもの。ましてや競技専用車両となるフォーミュラカーともなるとその敷居は比べ物にならないくらい高いはず。わたしからすると、まず何から始めていいかすら分かりません。

このフォーミュラEnjoyは、マシンのワンメイク化やコストダウンにより、その敷居をグッと下げているようです。

 

この車両で一番特徴的に感じたのが、このエンジンユニット。フォーミュラカーの特徴であるマシン後方の尖がった部分から、エンジンが横に飛び出している!空力的にはあまりよろしくなさそう?

 

エンジンの側面には部品番号のようなシールが貼られていました。この品番を調べると、これはホンダ純正部品のVTCモーターASSYのものでした。可変バルタイ(V-TEC)関係の部品ですね。

そう、このエンジンユニットはホンダ製なのです。

マシンスペックには1300ccの水冷直列4気筒DOHC4バルブ(100ps)と記載されておりましたが、どうやらこれはフィットに搭載されているLB13B i-vtecエンジンを使用しているのだとか。

フィットと同じエンジンと聞くとなんだかレーサーっぽくないですが、フィットの車重が1~1.2tなのに対し、このフォーミュラEnjoyは487kgと半分以下。重心の低さも相まって、その乗り心地は全く別物のはず。いやはや、いったいどんな感じなんでしょうね。

 

各部をみると、レーシング車両でありながらも、コストを抑えるためかカーボンではなくアルミで製作されている部分が多いように感じました。ワンメイクだから、高い費用を掛けて軽量化などをする必要が無いのですね。このフロントスポイラーはアルミを折り曲げて箱状に組み立てて作られていました。接合もアルミ溶接ではなくリベット留め。

 

サイド部分に貼られているステッカーのK&G RACINGは、地元鈴鹿の企業さんですね。

 

エンジンはフィットだけど、コックピット周辺は完全にレーシングカー。めちゃくちゃスパルタンな雰囲気。着座位置もほぼ地面に座っているようなものなので、体感速度は相当すごいんじゃないでしょうか。

 

ボディであまり見えないものの、隙間からは足回りがチラ見え。

 

ブレーキキャリパーはwilwoodのものがついていました。鈴鹿に所縁のあるブレーキメーカーは?と聞かれてもわたしには思い当たりませんが、それでもここでアメリカ製の部品が使われているのはちょっと意外ですね。

話は脱線しますが、wilwoodってロゴが緩くてわたし好みなので、アメ車であるビューエルさんに付けたいなぁと以前から思っていたりします。残念ながらwilwoodのブレーキといえば稀に2輪用のものも見かけますが、流通しているのは圧倒的に4輪用のものばかりのようですけど。

 

今回ご紹介したこのフォーミュラEnjoyのFE2ですが、公式のホームページではお値段も記載されていました。

そのお値段、タイヤ・ホイール別で3,299,000円

そもそもフォーミュラカーの相場を知らないので、この価格が安いのか高いのかはさっぱり見当がつきません。同じエンジンを搭載するフィットのお値段が159~266万円くらいですが、フィットのような超大量生産品と比べると、コスト面ではこのフォーミュラEnjoyは圧倒的に不利なはず。どの部品のしてもかなりの製作費用が掛かってしまうでしょう。それでも300万円ちょっとでフォーミュラカーが購入できるというのは、かなり頑張っている価格のような気がします。少ロット生産ってほんとうに高くなりますからね。

いまなら鈴鹿PAにいけば誰でも好きな時間に好きなだけこの車両を見ることができますから、少しでも興味がある方、近くを通る機会のある方、是非鈴鹿PAを訪れてみれはいかがでしょうか。

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