合計3回も行うことになった仮組作業の結果、ようやく全てのパーツのクリアランスや組み付けに問題がないことが確認できました。
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ドラッグスターのフロントフォーク倒立化③ 各部の修正と2回目・3回目の仮組み
Contents1 各部の修正作業と加工1.1 ステムシャフトの作り直し1.2 トップブリッジとステムのバフ掛け1.3 新たに社外タンクを購入1.4 メーターも必要です2 2回目の仮組み3 3回目の仮 ...
ジャダーの出ているブレーキディスクの交換や、各パーツの仕上げといった細々とした作業はまだ残っているものの、これで試行錯誤や大掛かりな作業は完了のはず。
残る作業をちゃちゃっと片付けて、いよいよ完成させてしまいましょう!
タンクの塗装
アルミ地そのまんまだったガソリンタンクはしっかりと塗装しました。
アルミ地そのまんまっていうのもカフェレーサーっぽくてわたしは大好きなんですが、お手入れが大変なのが目に見えているのと、クルーザー系のフレームでそれをやっちゃうとリアフェンダーもアルミ地にしないとバランスが悪いような気がして断念。いつかワンオフでショートなアルミ叩き出しのリアフェンダーを作りたいなぁ。
以前はアパートのベランダで自家塗装もしていたんですが、この時はとてもそんなことできる環境じゃなかったので大人しく業者に発注。近所のカーコンビニ倶楽部で、2万円程度で塗って頂きました。やはりプロの仕事はとても綺麗です。手間暇と完成度を考えると、自家塗装はコスパが悪いと認めざるを得ません。
スイッチボックスの塗装
いろいろ悩んだけど、スイッチボックスはヤマハの純正部品を使います。なんだかんだで操作性は抜群にいいですもんね。ハザードスイッチが使えるのも大きなメリットです。
しかしながら純正部品は耐久性重視で無難な色調の塗装仕上げになっており、質感はイマイチ。加えて、純正のアルミ+クリアー塗装は経年劣化でどうしても白く錆びてきてしまい不格好。なので、純正部品を使うにしても表面の仕上げはしっかり手を加えてやりましょう。
ポリッシュ仕上げが最有力候補だったけど、やっぱりアルミポリッシュ仕上げは輝きの維持が大変なので、ここは黒色のパウダーコーティング仕上げにしました。もちろん、業者様での施工です。
艶有りにしたので、ぴっかぴかの黒色がとってもいい感じです。とても綺麗。
ちなみになんですが、使用しているドラッグスター純正スイッチボックスは実はこの2001年式ドラッグスターに元々付いていたものじゃないんです。
どういうことかというと、2001年式ではこのようにアクセルワイヤーが上部から飛び出す取り回しのスイッチボックスが元々採用されています。
しかしながら、これはどう見てもワイヤーの取り回しがブサイク。
一方で、前期型と呼ばれるモデル(アナログメーター採用モデル)ではこのようにアクセルワイヤーが下から飛び出す取り回しのスイッチボックスなんです。
組み上げた時のスッキリ感はもちろん後者の方が優れているので、今回はわざわざ前期型のスイッチボックスを調達してきて採用しております。しかしながら、下からワイヤーが飛び出るということはハンドルバーの種類によってはガソリンタンクに干渉しやすいというデメリットも抱えています。使用する時は自分が使っているパーツとの相性に注意しましょう。
パウダーコーティングから返ってきたスイッチボックスに早速スイッチ類を取り付け。
基本的には各スイッチをネジで固定するだけの簡単な作業なんですが、今回はせっかくアクセルワイヤーの取り回しにも気を使っているので、配線の長さもぴっちりと車体に合わせることにしましょう。ハンドルバーも極力低くなるように交換しているので、そのままでは配線の長さがかなり余ってしまうのです。配線がびろんびろんに余っていたら、どんだけカスタムされた車両でもだらしなくてカッコよさ激減ですよね。
配線の長さ調節ですが、
- カプラーから端子を取り外す
- 端子もろとも配線をカット(ここで配線の長さを調整)
- 新しい端子を圧着
- カプラーに端子を取り付け
の手順で行います。カプラーをタンク下やネック裏などの見えない場所に隠せるように配線の長さを調整するのが美しく仕上げるためのポイントですね。
その他ハンドルバー周りのパーツ
前回の仮組みでハンドルバーは1インチのものを使用することが決定しました。その前の仮組み段階ではミリバーのセパハンを使っていましたから、そのままではマスターシリンダーやグリップが使えません。
そこで、それらの問題を解決する為の部品も調達。あぁ、どんどん費用がかさんでいく…
こちらは1インチのハンドルバーにミリバー用のNISSINラジアルマスターシリンダーを装着する為のアダプター。ハンドルバーとマスターシリンダーの間に挟み込むことで、NISSINラジアルマスターシリンダーが1インチ仕様になる超便利な部品。
実は今回1インチハンドルバーに変更する上で最も頭を悩ませたのがマスターリンダーの取り付け方法。なんせ、既にNISSINマスターリンダーという高価な部品を購入しちゃっていたわけですから、どうにかしてこれを使いたい訳です。
そこでいろいろ調べてみると、世の中にある高性能なマスターリンダーのほぼ全てがミリバー用ですから、それをハーレーなどのクルーザー系バイクに取り付ける為に皆さんいろいろ工夫しているようです。見つかった方法は、
- ハンドルバーのマスターシリンダー取り付け部分だけミリバーにする(切断・溶接が必要)
- マスターシリンダーの取り付け部分を1インチになるように切削加工する
- ハンドルバー周りをすべてミリバー仕様に交換する
などなど。いずれも高度な加工や大掛かりなパーツ交換が必要だったり、結構大変な感じ。マスターシリンダー単体の価格よりもずっとお金が掛かります。
もう、ラジアルマスターシリンダー辞めようかな・・・という考えが頭を過った時に見つけたのが先程のアダプター。マスターシリンダーアダプターというかなりそのまんまな商品名ですが、必要な人には価格以上の価値が間違いなくある商品。当時はNISSINラジアルマスター用、bremboマスター用などがありました。
今でもあるかは分かりませんが、大手メーカーではまず商品化することが出来ないこのような部品を開発・販売して頂いていることにむっちゃ感謝です。
こちらは前回の作業でも軽く触れました、Nice!Motorcycleのパンチンググリップ。
カスタムグリップはビレットこそ至上!ゴム?そんなのありえないっ!!っていう偏見に満ちたわたしを一瞬で改心させてくれたのがこちらのグリップ。店頭で触った瞬間に即購入を決断。
ビレット製のグリップって、滑りやすいし、冷たいし、スロットルスリーブとの固定も難しくて正直使い勝手の面ではかなり我慢していたんです。ところが、高品質なゴム製のグリップは手に吸い付くような握り心地でとても使いやすいことを最認識。グリップはやっぱりゴム製に限る、とこれから言い続けることになるでしょう。
ゴム製のグリップといえばミリバー用のものが多く、しかもいかにもスポーツバイク乗りが好みそうなスポーティーなデザインのものが多いんです。しかしながらこのグリップはチョッパー屋さんのNice!Motorcycle製ということもあり、1インチ用でなおかつデザインもチョッパーやクルーザー系に抜群に合うんじゃないでしょうか。
ブレーキディスクの交換
1回目の仮組みの時点ではヤフオクで入手したYZF-R1の純正ブレーキディスクを組み付けたのですが、試乗してみるとフルブレーキング時にジャダーが発生することに気が付きました。
表面に目立った傷も無かったことから、恐らく歪みがあったのでしょう。もしかすると、転倒を起こした車両から取り外した部品だった可能性もあります。歪みといっても肉眼ではまず判別不可能なので、ブレーキディスクを中古で購入する時は”基本曲がってる”くらいに考えておいた方が良いでしょう。
ジャダーが出るのはフルーブレーキング時で普段の街乗りでは全く気にならないんだけど、やっぱり気持ちが悪いのでそのまま使用するわけにもいきません。あ~、損しちゃった~…
ジャダーの出るブレーキディスクはさっさと処分してしまって、代わりのブレーキディスクを調達。
今回入手したのはインナーディスクのゴールドアルマイトが眩しい、サンスターのディスク。入手先は懲りずにヤフオク。何だかんだ文句言っても、やっぱり安いのはとっても魅力的…。今度はジャダーが出ないといいなぁ。なんだかギャンブルみたいなもんですね。
取り付けはきちんと新品のボルトで、トルクレンチを使ってマニュアル通りのトルクで組み上げていきます。
もちろん古いボルトでも大丈夫なんでしょうが、新品のボルトだと下処理やネジロックの塗布といったことに気を遣わずに済むので楽チン。場所が場所だけに、安全・安心が最優先。
装着完了。
以前のYZF-R1のディスクはインナーディスクが黒色でしたが、それと比較するとかなり派手な見た目になりました。最初に歪みのあるディスクを買っちゃったのは残念だったけど、こっちの外観の方が好みだったので、結果オーライということにしましょうか。
組付け作業
必要な部品も全て揃い、やりたかった加工も終わったので、ようやく組み付けです。
YZF-R1のステムはもちろんのこと、今回全ての部品はボルトオンで装着できるように制作したので、組み付けの手順は純正のドラッグスター400とそう大差はありません。ステムベアリングも純正と全く同じものが使用できます。
せっかくの機会なので、ステムベアリングも新品に交換。ウレアグリスをたっぷり塗り込んで組み付けます。ついでに、ステムシャフトにもうすーくグリスを塗っておくと錆びにくくなって良いですよ。
そうそう、今回奮発してステムロックナット用の特殊工具も準備しました。ヤマハ純正工具です。
パーツNoはサービスマニュアルに記載されているので、普通の純正部品と同じように注文することができますよ。
今までフックレンチでなんとなく組んでいたステムですが、これからはトルクレンチでしゃきっと組めるようになりました。決して安い工具ではないんだけど、マニュアル通りの数値で組めるとやっぱり気持ちが良いです。
バフ掛けしたトップブリッジ、ハンドルポスト、メーター、そして主役のフロントフォークがつきました。うん、むっちゃかっちょいい!
続けてフロントホイールも組み付け。
長いことジャッキアップされていましたが、これでようやく転がせるようになりました。
ガソリンタンク、ハンドルバーも組み付け。
今までは狭いスペースで作業をしていたので、各部品を取り付けて車体の全体像を眺めるのはこれが初めて。タンクの小型化とゴールドのブレーキディスクで以前よりもかなり印象が変わりました。
いろいろトラブルはあったけど、こうして形になるとそれらがどっかに吹っ飛ぶくらいの達成感です。まさに、感無量(まだ完成してないけど)。
実際に跨ってみると、ハンドルバーは少し幅広気味かな?って気がしましたが、ごくごく自然な乗車ポジションの範囲内。とっても乗り易そう。
唯一の誤算はマスターシリンダーのリザーブタンクがでかすぎて、メーターの視認性が少し悪いこと。今後どうしても気になるようなら、クラッチ用の小さいリザーブタンクに交換してもいいなぁ。
ブレーキキャリパーを装着して、フルードのエア抜きが完了したら遂に完成です。
完成しました
当初の予定よりもずっと時間が掛かりましたが、YZF-R1の倒立フォークの取り付けがようやくできました。
早速試乗してみると、以前(仮組み1回目)の時のような乗りにくさは一切なく、ごくごく自然な乗り心地に仕上がってくれました。ハンドルの切れ角は純正よりも若干少ないハズだけど、これならわざわざ切れ角を増やす必要は無さそう。
恐らく、以前の乗り辛さはセパハンだったことが原因だったのでしょうね。もう、セパハンは絶対にやりません。
気になる乗り心地なんですが、純正のシングルディスクからダブルディスク+ラジアルマスターシリンダーに交換されたフロントブレーキ周りはとてもコントロールし易くて快適です。サンスター製ブレーキディスクのジャダーもなく、一安心。ただし、フルブレーキングするとフレーム剛性がブレーキやフロント周りに負けているのか何なのか分かりませんが、言葉にし難い気持ち悪さを感じます。車体の、ステムから後ろだけがグニャ~っと停まらない感じ?そんなこと有り得るの?なんなら、わたしみたいなアマチュアでも体感できるものなの?
さて、これにて無事作業は完了ですが、実はフロントに続いてリアホイールの換装にも興味津々。でもまずはせっかく苦労して改造した愛車をガンガン走らせて、サスのセッティングにも挑戦したいところです。