STIレバー『ST-5600』のオーバーホール【分解編】

 

ロードバイクで最も特徴的なパーツは?

そう、ドロップハンドルSTIレバー

今回のロードバイクのバラ完ではこれまでエスケープR3で使っていた部品をいろいろと流用する予定ですが、エスケープR3にはドロップハンドルもSTIレバーもついていません。なのでこれらの部品は今回新たに用意する必要があります。

もちろん現行パーツを新品で購入するのもいいんだけど、エスケープR3で使っていた10速時代のパーツの質感がほんとうに気に入っているので、STIレバーも同じ年式のもので揃えたいと思います。

そんなわけで、今となっては10年以上、いや15年以上前ものパーツとなる105グレードのSTIレバー『ST-5600』のオーバーホール作業についてご紹介します。

 

STIレバーはシマノST-5600を使用

今回のロードバイクのバラ完で使うリアディレイラーは、10速時代の105グレードであるRD-5600

古い部品だけど、この磨きの入った質感が堪らなくお気に入り。同じシルバーでもただの塗装なんかじゃダメなんです。いくら塗装の質感が良かろうとも、金属感全開のポリッシュの仕上げには敵いません。 造形的にも10速時代のパーツは好みだなぁ。性能的には最新の11速や12速のパーツの方が勝るのでしょうけど、格好良さは断然こちらだと思っています。

 

そんな今となっては骨董品ともいえる10速のリアディレイラーを使うと決めた以上、それと組み合わせるSTIレバーも同じ10速時代のものを調達する必要があります。選択肢はいくつかあるけど、リアディレイラーと全く同じ時期の105グレードであるシマノST-5600を購入してきました。大昔の部品なので、もちろん中古です。

 

ところがこのST-5600、なんてチープな質感なんだ・・・というのが率直な感想。とてもじゃないですけど、あの素敵なリアディレイラーと同じ年代の部品とは思えません。それでも需要は高いのか、状態が悪いものでもそれなりのお値段で取引されている様子。こんなのにお金を払うのならば、絶対現行のパーツを買った方がコスパはいいだろうなぁと感じました。

 

分かっていて購入しているんですが、それにしても状態が悪いです。15~18年も前の部品なんですからある程度は仕方がないものの、古いSTIレバーはなぜか変なウネウネ模様状に表面が傷んでいるものを多く見かけます。わたしが購入したものも片側だけそうなっているんですが、一体何が原因なんでしょうね?雨水、かなぁ?

購入したSTIレバーの状態はとても悪いですが、せっかくフレームもピカピカにする予定なんですから、これもできる限り綺麗にしましょう。腕の見せ所ですね。

 

バラせるとこまで分解するのだ

というわけで、綺麗にするためにはなにはともあれ分解しないことには始まりません。早速できるところまで分解しましょう。

使う工具は意外と少なく、六角レンチとプラス1ドライバー、あとは8mmのソケットレンチくらい。画像に写っているプラス2ドライバーは結局出番はありませんでした。あとは小さなマイナスドライバーがあればより作業が捗るかも。

事前準備として、ゴム製のブラケットカバーは取り外しておきます。どうせ再利用はしないんだから、カッターかなにかで切断しちゃえばすぐに取り外すことができます。

 

最初にやるのはこの部分。レバーをブラケットから取り外すためにはレバーの可動軸を抜く必要があるのですが、その軸の抜け防止のイモネジの取り外しです。STIレバーをひっくり返すとすぐわかる位置にあるので、サイズの合う六角レンチで緩めます。なお、細い寸法にも関わらず赤色ロックタイトが塗られているのでむっちゃ固いです。小さい部品ながら、この部分は今回の作業で2番目に固いネジでした。

 

イモネジを外せたらレバーの軸を抜くことができますので、適当な太さの棒で押し出してやりましょう。

 

この軸、左右どちらからでも組めそうな感じですが一応向きがありました。お尻が平らになっている方が車体内側を向くようにセットされていましたので、組み直すときも同じになるよう覚えておきます。

 

軸を抜くとスプリングとともにレバーが外れるようになりますが、この時点ではまだ白い紐みたいなものがブラケットと繋がっているので、レバーを引っ張らないように。

 

白い紐を外すには、このグリップ部分の蓋を外します。プラス1ドライバーを使って2本のプラスネジを外すと、

 

中にはよく分からないコネクタが。さきほどの白い紐はこのコネクタと繋がっているのでした。どうやらこのコネクタ類は当時の105以上のグレードが対応していたシマノのサイクルコンピューター『FlightDeck』と接続するためのもののようです。今となってはおそらく大多数の人にとっては不要な装備かと思いますので、邪魔くさく感じる人はさっさと切断しちゃった方がよいかも。

 

コードの先端の端子は貧弱でイライラしますが、グリップ部の穴から丁寧に抜いてやりましょう。イライラするならさっさと切りましょう。

 

端子を綺麗に整えた状態で、小型のマイナスドライバーでそっと押してやると綺麗に抜くことができるような気がします。

 

『FlightDeck』のコネクタを抜くことができれば、ようやくレバーとグリップを分離させることができます。軸受け部分はスプリングの取り付けの都合上左右で形状が違うようです。

なお、このSTIレバーの前オーナーはどうやら屋外保管だったらしく、各部の汚れっぷりが凄い他、取り外したグリップ内部にはおそらく蜘蛛によると思われる得体の知れない物体も。屋外保管だとどうしてもそのような昆虫的なものが知らぬ間にできがちです。

 

 

続けて取り外したレバー部分の分解を行ってきます。STIレバーはブラケット部分ではなくレバー部分が本体なのです。

まずは105のロゴが入ったプレート部分。これはただの飾りですね。プラス1ドライバーでプラスネジ1か所取り外すだけで簡単に外すことができます。

 

次にラチェット部分のカバーを取り外していきましょう。画像では分かりにくいですが小さなプラスネジが見えますので、穴の中にプラスドライバーを突っ込んでこのネジを取り外します。

 

小さいネジなので無くさないように。

 

するとカバーを左右にパカッと割るようにして取り外すことができます。

 

次にラチェット全体を覆っているカバーを取り外していきましょう。まずはSTIレバーのてっぺんに見えているプラスネジ1本を取り外します。このネジはカバーの固定というよりかは、STIレバー操作時にカバーがレバーと供回りしないようにする役割なんじゃないでしょうかね。

 

カバーを固定するメインの部分はこちら。ロックタイトが塗られたナットに、さらに緩み止めのプラ部品まで装着されています。造りを見るだけで、ここの固定がいかに重要かをうかがい知ることができます。

 

緩み止めのプラ部品は引っ張るだけで取り外すことができます。

 

ナットは8mmのレンチで取り外すのですが、周りが盛り上がっているので差し込み部3/4の一般的なソケットではおそらく入らないでしょう。もちろんメガネやコンビレンチもものによっては入りません。手持ちの工具では差し込み部1/4のソケットが一番いい感じで使用できました。

ちなみに、ここのナットが今回の作業で一番固いやつでした。固いといっても所詮は8mmなので、適切に使用できる工具さえあればそんなに苦労することはないでしょう。

 

ナットを外すとカバーを外すことができます。カバーはカチッと嵌っているので、取り外すには少し力が必要かも。

 

これまでの作業で、ここまで分解することができました。もちろんこれ以上も分解することはできますが、これ以上はメーカーは分解は推奨していません。

わたしとしてはラチェット部分の構造がどうなっているのか気になりますが、部品は細かいし、リターンスプリングの力は強いし、バラバラにしたら元に戻せる自信がないなぁ。

この状態でもラチェット部分の掃除はできるので、メンテナンス的にはこれ以上分解する必要性はありません。

 

これがSTIレバーのキモとなるラチェット部分。レバーを倒すことでカチカチと一定間隔でワイヤーを引き、リリースレバー(内側のレーナ)でラチェットを解除する構造になっています。

ご覧のとおり、ラチェット部分は異物や汚れたグリスで大変な状態になっています。分解前のチェックではこの状態でもとくに問題なく動作していましたから、見た目の繊細さとは裏腹になかなかタフなヤツですね。

 

分解した部品を並べるとこんな感じ

これは各部の清掃を終えたあとですが、今回分解した部品を並べるとこのような感じになります。分解方法をご紹介していない部品もありますが、それらは誰でも一目見たら簡単に分解できるようなものですからご安心を。

次回はこれらの部品の洗浄・加工の様子と組み立て作業についてご紹介します。

 

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