GIANT エスケープR3の2×10速化【その3】デュラエースクランクなど新パーツの取り付け

(※ この作業は2021年6月の作業です)

日常使い中心で性能面での不満もないというのに、気に入った見た目のクランクを取り付ける為に、3万4千円という決して安くはない費用をかけて取り組んでおりますエスケープR3の2×10速化

前回は車体から交換する部品の取り外しを行いました。

今回は交換する部品たちをエスケープR3に取り付けていき、各部を調整して完成させましょう。

 

エスケープR3への駆動系パーツの組み付け

BBの組み付け

まずはBBの組み付けですが、せっかくなので組み付ける前に元からついていた部品と比較。特殊な寸法とされるデュラエース FC-7410ですが、比べてみると対応するBBと元からついていたBBとの軸長の違いはこの程度。ほんのちょっと短いだけですね。ただの四角軸ならばスペーサーを入れるなどして誤魔化すこともできますが、これらは圧入する為にテーパー形状となっていますから、ピッタリの寸法のものを用意しないとどうにもなりません。

 

ネジ穴には齧り付き防止のために軽ーくグリスを塗っておきます。ただ、BB側のネジ山にはロックタイトが塗られていますから、グリスなんて塗っていいのかな?って気もしますけど。どうなんでしょう?

 

ネジを締める時の鉄則、まず最初は手で締めていきましょう。最初から工具を使うと、万が一真っ直ぐ入っていない時にネジ穴を傷める可能性が高くなるからです。

 

BBのケースには締め付けトルクが記載されておりますので、きちんとトルクレンチを使って締め付けます。トルクレンチの必要性についてはよく議論が巻き上がりますが、なくてもいいかもしれないけどあるに越したことはないんじゃない?っていうのがわたしの考え。多少精度が狂っていようが、なんもないよりかは絶対にマシでしょう。

話をBBの方に戻しますと、右側は正ネジだから一般的なトルクレンチで問題ないんだけど、ちょっと困るのが左側の締め付け。こっちは逆ネジなので、逆ネジ対応のトルクレンチが必要になります

逆ネジ対応のトルクレンチなんて当然マイナーなので、安価な正ネジ用のトルクレンチのヘッドを分解、表裏逆向きに組み付けて自作するのが一番手っ取り早いでしょうか。わたしはSIGNETの正ネジ・逆ネジ兼用タイプを持っていますが、これってもう売ってないんですよね。すげー便利でお勧めしたい一品なのに、残念です。

 

BBが入りました。新品のパーツはピカピカして気分が良いですね。

BBの組み付けは人生初体験ですが、右側を完全に締め付けた後だと左側のパーツが入りませんでした。どうやらネジ穴に対してBBは完全には真っ直ぐ入っていかないみたい。なので、右側を強く締め付ける前に左側も軽く締めておく必要があるようです

 

クランクの取り付け

BBを取り付けたら、お次はクランク。クランクはネジを締めるだけでBBに圧入されていきますから、とっても簡単。やはり取り付けネジは最初は軽い力で締め始めるように気を付けます。

 

フロントディレイラーの取り付け

フロントディレイラーを取り付けます。取り付け自体はネジ一本なので、やっぱり簡単。クランクのチェーンリングに沿う様な位置にしましょう。

 

取り付け位置は元からついていたものと比べると随分上になりました。その為、シフトワイヤーの長さもギリギリ足りなさそう。アウターを切り詰めるとかすればなんとかなる程度にも感じますが、今回は潔く交換しましょう。

 

チェーンを通す前にある程度の調整を済ませておきます。チェーンが無い方がディレイラーとギアとの位置関係がはっきり分かりやすいですからね。フロントディレイラーはシフトワイヤーで引っ張っていない時にインナーギア、ワイヤーで目一杯引っ張るとアウターギアになりますので、アームの中心にそれぞれのギアがくるようにアームの位置を調整します。どの調整ネジをどの程度回せばどの程度アームの位置が変わるのか、チェーンがないとよく分かります。最終的にはチェーンを通してから微調整するので、ここではある程度でオッケー。

 

カセットスプロケットの取り付け

これも特に難しいことはありません。取り外しの時と同じように、回り止めツールでスプロケットを固定し、ロックナット専用工具で締め付けるだけ。ロックナットには40N・mと適正トルクが記載されていますが、この工具ではトルク管理は無理ですね。トルク管理をきっちりしたい人はソケットタイプの工具を選びましょう。

 

カセットスプロケットを取り付けたら、リアホイールを車体に戻します。リアディレイラーを取り付ける前の方がホイールを取り付けやすいですね。

 

リアディレイラーの取り付け

リアディレイラーの取り付けもフロントディレイラー同様にボルト1本なので、とても簡単。アルミポリッシュ のピカピカの質感が堪りません。

 

フロント側と同様に、チェーンの取り付け前にディレイラーの大まかな調整を行います。調整といっても原理は簡単で、シフトギアとスプロケットが一直線になるようにするだけ。フロント側よりももっと分かりやすいです。ディレイラーのアームはワイヤーで引っ張られていない時はトップギアの位置に、ワイヤーで目一杯引っ張られた時にローギアの位置になりますか、それぞれの位置でギアが一直線になるように調整ネジで調整します。

 

チェーンの取り付け

完成まであと少し。最後に組み付けるパーツはチェーンです。ただ、チェーンはその車両によって適切な長さが異なりますので、取り付ける前にチェーンの長さ調整をしなければなりません。

ところで、チェーンの長さ調整の方法って主に2種類あるみたいなんです。どっちの方法でやればいいの?それぞれの方法でどのくらい長さが変わるの?っていうのが、わたしが気になってたこと。チェーンなんてパツパツやダルンダルンでない限り、多少長さが変わってもたいして問題なさそうですが…。

まずはロードバイクで主流っぽい、アウターギア×トップギアで長さ調整する方法。この方法ではチェーンはディレイラーを通し、ディレイラーのアームが垂直になる位置がチェーンの長さとなるようです。

 

これくらいの位置ですね。とりあえずマスキングテープで印付けしておきます。

 

もう一つの方法はMTBなんかで主流の方法らしく、アウター×ローギアというたすき掛け状態で調整する方法。実際は使用しない組み合わせだけど、デカいスプロケット同時の組み合わせってわけですね。

 

この調整方法ではリアディレイラーは通しません。その代わり、チェーンはピッタリの長さから1コマ(=2リンク)分余裕をみた位置が最適な位置なんだとか。

画像だと少しチェーンがたるんでいますが、ピンッと張るとピッタリ+1コマ分の位置は先程マスキングテープで印付けした位置と同じになりました。つまり、今回はいずれの方法でも最適なチェーンの長さは一緒になるってことですね。

 

今回はチェーンの接続にはミッシングリンクを使うので、最適な長さから半コマ分余計に切断。そしてミッシングリンクで繋ぎます。ミッシングリンクって物によってはとても硬い場合があるらしいですが、わたしが使ったものはかなり緩めでした。専用工具を使えばものの数秒で接続できます。

 

完成!乗り心地はどう変わった?

仕上げにディレイラーの微調整を行ったら完成。作業前後で見比べてみましょう。

あれ?パーツ単体ではむっちゃかっこいいのに、こうやって全体でみるとたいした差では…ない?

作業時間はのんびりやって2時間程度。外して代わりの部品を取り付けるだけですから、それほど難しい作業ではありません。ディレイラー調整が初めてなら手こずるかもしれませんが、ディレイラー調整は出来た方がいいですからね。壊れるものでもないから、どしどし触って慣れましょう。

 

見た目が目的という不純極まりない理由での2×10速化。パッと見はあんまり変わらないけど、オーナーとしては細部の質感が上がって結構満足。そう、完全なる自己満の世界…。趣味ってそんなもんでしょ?実用性重視でチェーンリングカバーつけようかとも思ったけど、そんなことしたら自己満度が下がるのでやっぱりヤメ。やっぱりギア剥き出しはカッコいいです。クランクも、いつかポリッシュしよう。絶対しよう。

 

さて、見た目が目的といいながらもやっぱり気になるのは乗り心地。なんてったって3万4千円ですからね。さぞや高級感溢れる漕ぎ心地なんだろうなぁ…と、早速ひとこぎ…

…!

ぜ、

全然分からーん!!

いやー、わたしが鈍感なだけだとは思うんですけどね、漕ぎ心地なんてさっぱり違いがわかりません。クランクの重量は半分に、BBも新品になっているというのに!

ただ、フロントディレイラーの変速スピードは全然違って、これは雲泥の差。ルーズな操作性のサムシムターにも関わらず、スッと一瞬でギアが変わるのは感動ものです。たかだか2千円程度でここまで激変するなら、もしかするとフロントディレイラーが最も費用対効果が高いパーツなんじゃないでしょうか?

 

というけで、これでエスケープR3のデュラエースクランクを使った2×10速化作業は完了です。

エスケープR3という自転車はコスパに優れた日常使いがメインの自転車ですから、ロードの部品をつけるような改造ってどうなんだろう?って思いますが、その目的や理由も人それぞれですからね。どなたかの参考になれば幸いです。

 

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