素人が安価な振れ取り台で挑む26インチのオールドマウンテンバイクのフロントホイールの手組み

 

前回までの作業でフレームがすっかり綺麗になりました、わたしのゲイリーフィッシャー・ケーキ2GS

このまま組み立てに移りたいところなんですが、その前にまだ組み立てに支障のある部分が1箇所あるんです。

それはフロントホイール。

新品で購入したエスアールサンツアーのサスペンションフォークのエンド幅がスペックシートと実際とで異なっていたことにより、110mm幅の手持ちのホイールが入らないのです。

今回はこのホイール入らない問題を解決させる為、人生初のホイールの手組みに挑戦します。

 

100mm幅のフロントハブに交換するのだ

現在フロントホイールに装着されているWoodman製のハブは、20mm×110mmのスルーアクスル用。多分、一昔前のダウンヒルとかジャンプ用の部品でしょう。一昔前ならこのハブが入る26インチ用のサスペンションフォークもたくさんあったんでしょうが、現在ではそんなものは絶滅危惧種。26インチ用のサスペンションフォークは9mmクイックか15mm×100mmスルーアクスルのものがちらほらある程度。時代は27.5か29インチホイールとBOOST規格の組み合わせが主流ですから。

 

そんなわけで、エンド幅100mmのサスペンションフォークに入るよう、ハブを交換してやります。まずは交換に必要な工具(ニップル回し)と100mm幅のハブを準備。

今回使用するハブはSHIMANOのHB-MT410。ディスク取り付け部が6穴タイプで100mm幅、そして15mmスルーアクスル用のハブが欲しかったのですが、 SHIMANOはもうセンターロックのものしかなかったのです。手持ちのブレーキディスクは一般的な6穴タイプだから、別にディスク変換アダプタが必要になっちゃいました・・・。こういう独自規格とか、規格をコロコロ変えるのはやめて欲しいなぁ。

 

スポークの長さが足りない!

ハブを交換するには、ホイールを一度バラバラに分解し、また組み立て直す必要があります。所謂ホイールの手組みです。これまでバイクを含めてスポークを組んだことなんて一度もないものですから、正真正銘の初挑戦になります。

というわけで、まずはホイールからタイヤとチューブを取り外して、リムテープも綺麗に剥がします。パナレーサーのリムテープが貼られていたんですが、びっくりするくらい糊がリムに残ってしまい、綺麗にするのに苦労させられました。

このあとスポークを取り外していくわけですが、分解前にスポークの組み方をしっかり確認しておきます。今回の作業は基本的には分解して元通りにするだけなんですから、わたしのようなド素人でも写真を撮るなどして記録を残しておけば、簡単に元通りにできるはず。

 

しっかりと現状の組み方を記録したら、いよいよスポークを分解していきます。これでもう後には引けません。再組み立てに成功しない限り、ホイールはパーになります。

スポークはニップルを回して緩めていくんだけど、適合する工具(ニップル回し)はニップルによって違うので、事前に確認しておきましょう。このパークツール製の赤いニップル回しはド定番のようですが、3.4mmのニップル専用です。3.2mmとか3.3mmのニップルには違うニップル回しが必要です。でも、たかだか0.1mmとか0.2mmの違いなんて普通に作業できちゃいそうですね。というか、間違いなくできるでしょう。それでもわざわざ専用のものがあるということは、ニップルというものがいかに繊細なものかがうかがえます。サイズを無視して無理矢理作業すると当たり前ですがニップルを傷めるようです。

 

どんどん、どんどんニップルとスポークを外していきます。取り外したスポークの先端がリムに当たると細かい傷がつくので、リムが傷つくのが嫌な人はタオルなどで養生しながら作業した方が絶対いいです。わたしはそういうことをしなかったので後々後悔しています。

 

ようやく全部分解出来た!一部のニップルは元からなめて本来真四角の形状が平行四辺形状に潰れていました。なんとか回せたけど、このニップルを使って組み直すのはちょっとしんどいかもしれません。ニップルって真鍮やアルミといった柔らかい金属でできているので、思っている以上に簡単になめちゃいそうです。

 

全てのスポークを取り外せたら、新しいハブを使って組み立て直します。このホイールはディスクブレーキのフロント用なので、スポークは逆イタリアン組です。まるで詳しいかのような書きっぷりですが、ただの知ったかです。そもそもスポークの組み方に種類があることなんて今回初めて知ったくらいの知識レベル。今回作業する為に一生懸命調べたんですが、それでも未だになぜ最初にこのようなスポークの通し方をすればイタリアン組となるのか、さっぱり理解できていません。

 

今回がわたしにとって正真正銘の初めてのホイールの手組み。始める前はこんなのできるかな?って不安しかありませんでしたが、始めてみると意外とできるものです。ただ、バラす前の写真が無かったらやっぱり無理だと思います。

 

そんな思いのほか順調かと思えていたスポークの組み立てですが、あるとき急にバンッと一部のスポークがニップルから弾け飛びました。スポークが短く、ニップルとのネジのかかりが浅かったことが原因っぽいです。これは弾け飛ぶ前の画像ですが、スポークのネジがこれだけニップルから飛び出しています。もちろんニップルは徐々に締め込んでいくのでこの程度飛び出していても全然問題ないだろうと思っていたんですが、そんな素人の予想とは違い問題あったっぽいです。

 

なんでこんなことが起こったかというと、それは単純にスポークが短かったから。

今回は使えたらいいなーっと元のスポークを再利用していたのです。そのスポークは元々付いていたWoodmanのハブとの組み合わせなら最適な長さだったのでしょうが、新たに交換するハブとの組み合わせでは長さが5mmほど足りなくなったのです。5mm程度なら許容範囲じゃね?と思っていたんですが、甘かった・・・。

 

改めて2つのハブを見比べてみると、スポークを差し込む部分の直径が明らかに違います。SHIMANOのHB-MT410の方が径が小さいですから、その分スポークを長くしないとダメなんですね。

当然このままでは組めないので、作業はここで一旦中断です。

 

スポークはちゃんと計算して適切な長さのものを使おう

というわけで、スポークの長さを計算できるサイトを活用させて頂きまして、今回使用するARAYAリムとSHIMANOハブの組み合わせに最適なスポークの長さを算出しました。

その結果をもとに、Amazonで新しいスポークを購入。スポークにお金を掛ける余裕もなかったので、CN Spoke(CNスポーク)という比較的安価なメーカーの製品を購入しました。このCNスポーク社ですが、”粗悪な台湾メーカー”だとか”すぐ折れる”といったネット上での口コミをチラホラみかけました。しかしながら、ただの鉄の棒なのにメーカーによってそんなに強度が変わるもんなのかな?というがわたしの率直な印象です。少なくとも、仕上がりは文句のつけようがないくらい十分綺麗。

とはいうものの、先人の意見も貴重な体験によるもののはず。マウンテンバイクでの使用はスポークにとってはかなりハードな環境だと思いますので、耐久性がどうなのかは実際に使用してみて確認したいと思います。

 

新旧のスポークの長さの違いはたった5mm。5mmなんて大したことないと思っていたんですが、こうやって比べてみると結構違うかも。ホイール直径で考えるとスポーク2本分、計10mmの差ですからね。10mmも違うんだから、ホイールを上手く組めなかったのも当然かもしれません。

 

このスポークにはニップルも付属していました。古いニップルはなめているものもそこそこあったので、これは助かります。

 

早速新しいスポークで組んでいきます。既に1回やっている作業なので、思っていたよりもずっとサクサクと作業が進みます。そして意外だったのが前回との組みやすさの違い。スポークがたった5mm違うだけで、ニップルへの組付け時の楽さが全然違います。前回は結構無理していたんだなぁと、改めて感じました。

なお、”スポークを組み立てる時はエアバルブを跨がないように”ってよく言われます。けど、わたしはどうやったらバルブを跨がないようにできるのか未だに理解できていません。理解できていなくても、バラす前の写真を参考にすれば問題無く組み立てることができます。このように写真に限らず参考に出来るものがあると組み立ての難易度はかなり下がりますね。

 

Availの振れ取り台で初めての振れ取りに挑戦

スポークの組み立てが終わりましたが、ホイールの手組みの本番はここから。振れ取り作業です。

わざわざこの為に今回振れ取り台まで購入しました。購入したのはAvailというブランド?メーカー?の振れ取り台。Amazonでは”日本の中小企業のブランドの商品です”と記載されていましたが、振れ取り台として恐らく最も安価な価格帯。ブランドは日本かもしれないけど、造りの感じから製造は海外っぽい雰囲気です。

 

この振れ取り台は15mmのスルーアクスルには対応していないし、画像にも写っているアクスルをセットするアタッチメントはプラプラとすぐ動きます。このアタッチメントが動くのはエンド幅を切り替える為なんですが、それにしてもよく動きます。そして、このアタッチメントが正しい位置にないとホイールが斜めになって振れ取りもめちゃくちゃになります。このアタッチメントが途中で動いているのに気付かず作業していて、振れ取り作業がやり直しになったことは数回にも及びます。途中でキレそうになりました。

ですが、このようなデメリットがあったとしても振れ取り台があるとないとでは作業効率は全然違います。絶対、あった方がいいです。

振れ取り台がなくとも自転車のフォークを利用して振れ取り台の代わりにする方法もあるみたいですが、その方法だと振れ幅の目盛りやゲージはないし、作業中の安定感も悪いので全くオススメできません。

 

話は振れ取り作業に戻りまして、

この振れ取り作業、初めてやったけど無茶苦茶難しいですね。

方法やコツを調べても、人によって言っていることがバラバラ。もしくは”やってみれば分かる”って意見も多かったです。

実際にやってみて思うのは、こりゃやってみないとわからんな、ということ。確かに言葉で説明するより手を動かした方がすぐ理解できます。

 

基本的には振れ取り台にセットしたホイールをクルクル回して、縦方向、横方向ともに出っ張っている場所のニップルをニップル回しで締めていく感じ。敢えていうなら、横方向の振れ取りを重視した方がうまくいくような気がします。

 

問題はどの程度の振れまでを許容するか?ということでしょうか。縦方向と横方向の振れが完全にゼロになることは現実的ではありません。少なくともわたしは絶対、無理。

マウンテンバイクで1mmの振れがあったとしてもわたしの感覚では絶対に分かりっこないのは理解しているんだけど、一度作業を始めるとなかなかやめ時が分からなくて延々と調整を続けてしまいます。スポークのテンションや定期的な増し締めなど、ホイールの手組みは凝り出したらいくらでもキリがなさそうな作業です。今回はスポークのテンションゲージなんて用意していないし、振れ取り台の精度も怪しいし、元から高いクオリティの振れ取りができる状態ではありません。1.5mmくらいの振れはもういいことにして、ほどほどのところで切り上げることにしました。せっかく手組みの経験を得ることができたんだから、次やるときはもっと道具を揃えてより高い精度に挑戦してみたいですね。

振れ取りが終わったら新しいリムテープを貼ったらホイールは完成です。

 

パーツが揃った。これでマウンテンバイクを組み立てられる

というわけで、今回のフロントホイールの手組みにより、一台のマウンテンバイクを組み立てる為のパーツがとりあえず揃いました。エスケープR3から取り外した部品を一部流用しているなど、まだまだ理想には程遠いパーツ達だけど、細かい部分のアップグレードは追ってやればいいしね。とりあえず早く乗りたい!

組み立てに使用する細かい部品たちはまた組み立てながら紹介したいと思います。次回はいよいよマウンテンバイクの組み立て作業です。

 

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