XB9Rのシングルシート製作②シートスポンジの製作

FRPとスポンジと、そして本革とで製作するバイクのシート製作。わたしの場合はビューエルXB9Rだけど、シートは全てのバイクにある部品なので、きっと他車種に乗っている人にも参考になるはず?

前回はまずはFRPでシートベースを製作しましたね。

今回はシート本体と言っても過言では無い、シートベースの上に乗っかるスポンジ部分を作っていきましょう!

前回紹介した3つの工程のうちの、工程②:スポンジ張り、スポンジ整形となります。

 

スポンジはどこで買う?何を買う?

スポンジ部分を作る前に、まずは材料となるスポンジを入手しないことには始まりません。

ところが、このスポンジってどこで買えば良いのか、何を買えば良いのかさっぱり分からないんですよね〜。

イメージ的にはカスタム屋さんがブログなどで公開しているバイクの製作過程なんかでよく見かける、灰色っぽいモザイク柄のスポンジ

だけど、あんなの売ってるの…見たことあります?

わたしは10年ほど様々な場所で探してきましたが、実店舗で見かけたことは一回もありません。ホームセンターやバイク用品店はもちろんのこと、手芸屋さんや東急ハンズといったDIYに強い店舗にも全く売っていませんでした。

だけども一昔前と違って、今やネットショッピングが当たり前の便利な時代。

インターネットでなんでも揃う世の中ですので、バイクのシート用のスポンジもネットショッピングで入手することが出来るようになりました。インターネット万歳!

わたしが利用しているのはスポンジ専門店のソフトプレンさん。ここには例のカスタム屋さんが使用しているようなモザイク柄のやつも売っていましたよ。

これってウレタンチップフォームと言うみたいなんですが、商品の説明文には、

用途:バイクのシートなど

って書いてあるくらいだから間違いないさそう!このスポンジはスポンジの端材を再生した素材なのだそうで、だからあんなモザイク柄なんですね。

しかしながら、なんだか口コミを見ていると”思ったよりも柔らかい”って言う意見が散見されるのが気になるところ。

特に今回わたしが製作するシートはあまり厚みがないので、柔らかいスポンジはあまりよろしくありません。なので、ウレタンチップフォームよりも硬いスポンジを選ぶことにしました。

 

そして選んだのがこちら。白ウレタンチップスポンジという商品です。モザイク柄のウレタンチップフォームの硬さが157N、今回購入したものの硬さが410Nですから、数値上は倍以上硬いスペックってことになります。

ちなみに、スポンジの物性は密度と硬さで表示されることが多いようです。密度を示す単位はkg/㎥、硬さを示す単位は N (ニュートン)が使われているみたい。

 

しかしながら硬めのスポンジを選んだつもりだったのに、実際に届いたスポンジの物性を確認してみると思っていたよりも柔らかく感じました。もちろん厚みがあれば感じ方も随分違うんだろうけど、薄いシートにする場合はもっと硬いスポンジの方がいいかも?

 

なお、おまけ?で”LOVE”の文字に切り抜かれたスポンジが付いてきました。なんでこんなものを・・・?ってこの時は思いましたが、この切断技術はすごい!ってことに後々気付かされます。これはいいアピールになりますね。

 

スポンジの貼り付け作業

シートの材料となるスポンジを入手することが出来たので、早速シートスポンジの製作作業に取り掛かりましょう!

まずは適当にカットしたスポンジをシートベースに貼り付けていきます。

 

貼り付けには普通の多目的ボンドを使用。わたしはレザークラフトで使っているコニシのウルトラ多用途SUを使用。

これが最適かどうかは分かんないけど、とりあえずは全く問題無く接着出来ました。どこにでも売ってるし、安価だし、何でもくっ付くし、とても優秀なボンドです。臭いけど。

 

ボンドでスポンジを貼りつけた後は、養生テープでしっかり固定しておきましょう。圧着させるのが目的ですから、適当な重しでも良いかも。

 

背中部分は厚みが欲しかったので、スポンジシートを2枚貼り付けています。

結果的にこれはあまり良くなかった・・・。

厚みが欲しい場合は複数枚貼って厚みを出すよりも、元から厚いスポンジを用意した方が後々の加工が楽ですよ。その理由はまた後ほど。

 

スポンジの整形

なんとなくシートっぽくなったけど、このままじゃ段差もあって流石に不細工ですね。次は理想の形になるようにこいつを整形していきます。

スポンジ製作でこの作業が最も大切なんだけど、最も大変な作業でもあります。

 

カッターで削ってみる

スポンジの整形作業にはいろいろな方法があります。スポンジは柔らかい素材なので、大抵の道具では削ることが出来ますからね。

どうやら一般的にはカッター、ノコギリ、やすり類がメジャーな方法っぽい感じ。

どうしようかなぁ〜っと、ホームセンターをうろついていたら、このようなとても切れそうな薄刃のカッターを発見しました。まずはこいつを試したいと思います。

 

やってみると一瞬で理解出来たんですが、スポンジを美しく切断するのはすごく難しいです

というのも、カッターの刃を前後に動かすと切断面が波波になっちゃうのです。これを防ぐには、一方方向にのみ動かすと綺麗に切れるみたい。そう、お刺身を切るのと全く同じ!

ホームセンターにはごくごく一般的な長さのカッター刃と、今回購入したロング刃のものが置いてありましたが、この作業に関して言えば後者の方が圧倒的に作業がしやすいでしょう。

 

切断面。

きれいに切れているでしょ?

 

ただ、このカッターでの作業は荒削りにしか使えませんでした。

当たり前のことなんですが、加工部分がどうしてもカクカクになっちゃうんですね。

また、シート中央部のような平面部分や、背もたれ部分と座面の間の逆アール部分にはカッターの刃がうまく入らないので、どうしても綺麗に整形することができませんでした。

 

ディスクグラインダーで削ってみる

お次はディスクグラインダーに#80のディスクペーパーをセットして挑戦。

この方法はヤバイ

何がヤバイって、加工で大量のウレタンスポンジの粉が舞いまくるのです。当たり前だけど。防塵対策の装備をしっかりして、粉が舞ってもよい場所で作業しましょう。

みるみる削れるので注意が必要ですが、平面部分も綺麗に削ることができます。カッターでの荒削りでカクカクだった部分もどんどん綺麗になっていきます。これは気持ちがいい!!

 

しかし、この方法もカッター同様に背もたれ部分と座面の間の逆アール部分をきれいに仕上げることができませんでした。

どうしてもディスクが斜めに当たっちゃうので、仕方がありませんね。この部分は手やすりで仕上げてやることにしましょう。

 

アラカンで削ってみる

ところで、先人達のノウハウを見ておりますと、どうやらアラカンなる道具が使いやすいとのこと。

アラカンなんてこれまで聞いたことが無かったんですが、これはどうやら金属ヤスリの製品名の様子。

せっかくの機会なので、わたしも一度使って見ることにしました。

で、こちらがアラカン。普通に近所のホームセンターで売っていました。

 

まるで調理器具のおろし金のような刃がついています。この刃には写真の平面タイプの他、丸みのついた湾曲タイプがあります。スポンジ整形で評価が高いのは湾曲タイプだけど、売って無かったから仕方がありません。今回は平面タイプで施工してみましょう。

て、早速使って見ます。

スポンジがぼろぼろになることなく、均一に削れて行く感じ。

 

ただ、削った後はやはり荒削り、という感じかなぁ。加工面はディスクグラインダーでの加工の方が綺麗に仕上がるように感じました。

しかしながらディスクグラインダーは加工時の騒音と削ったスポンジの飛散という問題があるので、加工場所の環境によってはこのアラカンは十分選択肢に入るのではないでしょうか?

 

こんな形になりました

カッター→ディスクペーパー→手作業(紙やすり)で整形したシートのスポンジ。

パッと見ではそれっぽく仕上がっているのですが、

近くでよーく見るとこんな感じで表面はザラザラ。

#80のディスクペーパーで仕上げているのですが、もっと目を細かくしたら綺麗になるのかな?

また、スポンジの継ぎ目なんかも段差になっちゃっています。

スポンジを貼り付けるボンドは乾くと硬く粘りがあるので、その部分があるスポンジの継ぎ目部分はどうしてもうまく削れないことが分かりました。

スポンジを重ねて厚みを出すなら、元から厚みのあるスポンジを用意した方が絶対良いですね。

 

シートを綺麗にする一工夫

せっかく頑張ったのにガタガタ状態のわたしのシートスポンジ。

そんなガタガタを綺麗にする為の素敵な物を購入しました。

それは・・・・

薄いウレタンスポンジ!!

しかも!なんと、シール加工済み!!

表面を別のスポンジで覆って、綺麗にしよう!!という発想です。これ考えた人、マジ天才…。そしてそんな便利なものが自宅に居ながら手に入るなんて、なんていい時代なんだ。

大きさはオーダー出来るし、厚みも選べるし、しかもシール加工してもらえる!

厚みは2mmと3mmとで迷いましたが、結局両方購入してみました。結果としては3mmの方が良かったです。

早速作業へ。適当に切り出して、

べろーっと貼り付け。

と、簡単に書いておりますが、薄いスポンジは当然すぐ破れてしまうので、慎重に貼っていかねばなりません。

スプレー糊でスポンジシートを貼る方法もあるようですが、今回のように予めシール加工されたものとどっちが作業しやすんでしょうね。もちろん、価格はシール加工していないスポンジの方が安いです。

 

四苦八苦しながら貼り終えました。

と言っても、慎重にやっても3分もあれば終わっちゃいますけどね。

スポンジは薄くて破れやすいのですが、引っ張れば多少複雑な形にも柔軟に対応してくれます。2mmは薄すぎてすぐに破れちゃうので、作業性を考えると3mmの方が良いでしょう。

 

不要な部分をカットしたら完成。

今回は1枚貼りですが、凸凹が激しい場合でも、2~3枚貼れば表面を綺麗にすることができそうです。

この方法、シートの自作以外にもあんこ抜き、あんこ盛り時の仕上げにも使えますね。本当に便利な方法です。

 

で、バイクに乗っけてみました。

製作前はスポンジが柔らかすぎ!?って思ってたけど、座り心地は申し分なし。

形状はまだ良く分からないので、あとは表皮を張った時にどう見えるか、ですね。

 

続き:本革を使ったシート表皮の製作

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