※ この作業は2008年に行ったものです。
エンジンオイルはエンジンの潤滑と冷却の一部を担うとても大切なもの。
メンテナンスについて詳しくない人でもとりあえずオイル交換しなきゃいけないことは知っているくらい、エンジンオイルの交換は基本的なメンテナンスの一つですね。
オイルの選定を含め、実際のところは様々なノウハウが必要となる奥の深い作業なんですが、文字通りエンジンオイルを交換するだけなら比較的簡単なことから、DIYでも挑戦しやすい作業でもあります。メンテナンスの第一歩にも最適?
そんなわけで、今回はドラッグスター400のエンジンオイルとオイルフィルターの交換作業についてご紹介します。
Contents
作業自体は簡単なエンジンオイルの交換
必要な部品と工具
部品
- お好きなエンジンオイル
- ドレインボルトガスケット(純正品番:214-11198-01)
工具
- 17mmのメガネレンチかソケットレンチ
- 廃油処理箱
- オイルジョッキ
- (ジャッキやメンテナンススタンド)※ あれば便利
17mmのレンチはエンジンオイルのドレインボルトの脱着に使用します。ドラッグスターって純正でも車高がそこそこ低いので、エンジンオイルドレインボルトの脱着は作業スペースが狭くて結構大変。メガネレンチやコンビレンチを使用する場合は、小刻みに回せるように12ポイントの工具が作業しやすいです。
また、ドラッグスターのエンジンオイルの量の確認は車体を垂直にして行う必要があるんですが、車体を垂直にしつつ車体の低い場所にある確認窓を黙示するのは慣れていないと結構難しいので、ジャッキやメンテナンススタンドがあるとより安全に作業することができますよ。
エンジンオイルの交換作業
拘り出せばいろいろとコツやノウハウもあるのですが、基本的には入っているオイルと抜いて、新しいオイルを入れるだけ。とってもシンプル。
まずは車体左側のクランクケースカバーの上部にねじ込まれているエンジンオイルのキャップを取り外せるのかどうか確認。ごく稀にこれが固着する車両があるみたいですが、エンジンオイルを抜いた後に気が付いてももう自走不可状態。バイク屋さんに駆け込むこともできません。
このキャップはネジ状になっており、指の力だけで簡単に脱着できるはず。きちんと取り外すことができるのを確認出来たら、一旦元に戻しておきましょう。こいつを開けっぱなしにしているとエンジンオイルの排出の勢いが強くなるのです。ドレインボルトを取り外す瞬間はエンジンオイルの排出はなるべくゆっくりの方が作業しやすいですからね。
このキャップのことですよ(図中の5番)。
エンジンオイルはクランクケース下部のドレインボルトを17mmのレンチで取り外すだけで排出することができます。”冷えてるとエンジンオイルの粘度が高いから、事前に軽くエンジンを温めておくといい”ってよく言われますが、当然暖め過ぎるとアチアチで危ないので、慣れないうちは冷えている状態の方が絶対安全です。冷えてても固まるわけじゃないから、普通に抜けますしね。
排出したオイルはオイルポイなどの廃油処理箱を使って捨てるのですが、こういった製品はそこそこの高さがあり、車体下に押し込んだままドレインボルトを緩めるのは至難の業。なのでわたしはもっと背丈の低い、廃油受けに一旦排出させた後に廃油処理箱に移しています。廃油受けにもいろいろありますが、樹脂製のものならさほど高価じゃないですし、とっても便利ですからおすすめです。
エンジンオイルの排出の勢いが弱々しくなったら、車体に跨って車体を垂直にしたり、揺らしたりして残りのオイルを排出させましょう。効果的にはそこまで神経質になる必要は全然ないと思うけど、せっかく交換するなら古いオイルはできるだけ抜いておいた方が、気持ち的にはなんだかすっきりするでしょ?
エンジンオイルを抜き終わったら、ドレインボルトに新しいガスケットを取り付けて締め付け。ドレインボルトはやたらとぶっ太いボルトですが、それはオイルの排出をしやすくするために太いってだけで、思いっきり締め付けていいってわけじゃありません。ネジ穴があるクランクケースはひ弱なアルミ製ですから、強く締め付けると簡単にネジ穴を破壊してしまいます。そうなるとエンジンをフレームから降ろしてのネジ穴再生ですが、手間と工賃と考えると中古エンジンに積み替えた方がいいんじゃな?ってこともありえそう。ドレインボルトの締め付けはかなりスリリングなのです。
ガスケットが潰れればいいだけなんだから、思っている以上にゆるーくでも大丈夫。不安な人はちゃんとトルクレンチ買いましょう。トルクレンチの必要性についてはいろんな考え方はあるけど、わたしのような素人にはあって悪いものじゃないっていうのがわたしの考えです。
ドレインボルトを締め付けたら新しいオイルを投入。
今回は後述のとおりオイルフィルターも交換していますから、その場合の目安量は2,800cc。まぁ、所詮は目安です。最終的には オイルレベルゲージ(窓)を確認して量の微調整を行いましょう。もちろん、既にドレインボルトは締めていますから、一度入れたオイルを抜くのはなかなか大変。気持ち少なめに入れて、徐々に足すようにして調整します。
一時期やたらとエフェロプレミアム(ヤマハ純正のとってもいいオイル)が安く手に入れることができたので、そんな贅沢なオイルを入れておりましたが、ドラッグスターの性格上普通の安いオイルで十分だと思います。いいオイルを入れて交換をケチるよりも、ちゃんとしたメーカーの基本グレードのオイルをちゃんとした頻度で交換した方がエンジンにはいいはず。
オイルレベルの確認は車体を垂直にして確認する必要があるのですが、1人で作業するには結構慣れが必要です。というのも確認用の オイルレベルゲージ(窓)って車体のかなり低い場所(画像の矢印部分)にありますから、ハンドルバーを持って車体を垂直にしたまま、ゆっくり屈んで、レベルゲージを見る必要があるのです。た、倒しちゃうっ・・・!
なのでジャッキやメンテナンススタンドを使って車体を真っすぐ自立させた方が断然いいんですが、最もお手軽な方法はサイドスタンドの下に雑誌などを挟んで自立させる方法でしょう。この方法だと反対側に倒れる危険性はありますが、サイドスタンド側にしっかり車体を引っ張ってさえいれば、それを防ぎつつ車体を真っすぐにすることができます。わたしは漫画雑誌2冊を重ねて使っていましたが、不要な本や雑誌を使えばタダですからね。コスパは最強です。
マフラー次第では滅茶苦茶面倒臭いオイルフィルターの交換作業
エンジンオイルの交換ができるようになったら、その次に挑戦したいのがオイルフィルターの交換。エンジンオイルに混じるゴミをとってくれる部品で、エンジンオイル交換2回毎に行うのが一般的なサイクルですね。エンジンオイルの交換作業中、具体的には古いエンジンオイルを抜いている間に行う作業です。
純正マフラーなら簡単だけど…
エンジンオイル交換と同じくらい基本的な整備で、実際作業は特に難しいことはありません。
ただしこれは純正マフラーを装着している場合の話。ドラッグスターは装着されているマフラーによっては、オイルフィルターを交換するためだけににわざわざステップやマフラーを取り外す必要がある場合があるんです。
しかもこれは決して珍しいことではなく、むしろ社外マフラーの多くはそういう仕様だと思っておきましょう。社外マフラーは性能だけではなく、整備性も損なうことが多いんですね。
今回もそのような面倒くさい系の社外マフラー装着車での作業方法を紹介します。
必要な部品と工具
部品
- オイルフィルター(純正品番:4X7-13440-01)
- オイルフィルターO-リング(純正品番:93210-64297)
- フロントエキパイのガスケット(純正品番:4TR-14613-00)
- リアエキパイのガスケット(純正品番:4BR-14613-00)
工具
- 4mmヘキサゴンレンチ(オイルフィルターカバーの飾りカバー脱着用)
- 5mmヘキサゴンレンチ(オイルフィルターカバー脱着用)
- 12mm六角ソケット(フロントエキパイの脱着)
- 6mmヘックスビットソケット(リアエキパイの脱着)
- 14mm六角ソケット(ステップブラケット)
これら以外にも、もちろんソケットを取り付ける為のラチェットやエクステンションバーが必要です。マフラーを取り外すとなると、必要となる工具は一気に増えますね。
マフラーの取り外し
オイルフィルターは右側のクランクケースカバー内に収められています。丸いメッキパーツの奥です。ところが社外マフラーの多くはこのカバーを覆うようなエキパイの形状になっているので、カバーを開けれるようにマフラーを取り外さなきゃいけないってわけ。純正マフラーはもちろんそんな面倒なことは不要です。
マフラーの取り外し方はそのマフラーによって全然違いますよね。フロント 、リア独立のドラッグパイプなら作業はめちゃ簡単ですが、集合部に液体ガスケットを使うような2in1タイプは面倒です。ステップをオフセットさせるようなタイプだとさらにステップをブラケットごと取り外す必要さえあります。
ステップブラケットは14mmの六角ソケットで取り外しますが、マフラーによっては異なるボルトに交換されていることがあるので注意。また、リアブレーキのランプがブレーキペダルに引っ掛けてあるので、それも取り外しましょう。
フロントエキパイの取り外しは12mmの六角ソケットを、リアエキパイの取り外しは6mmのヘックスビットソケットをそれぞれ使用します。フロントはエキパイの取り回しによっては12mmのメガネレンチじゃないとダメな場合もあったり、リアは必ず錆びると言っても過言ではない中間パイプと共にボルトが固着していることも多かったり、マフラーの取り外し作業は慣れていないと結構難関になる場合が多いです。
オイルフィルターの交換
マフラーを取り外すことができれば後は楽勝。まずは4mmのヘキサゴンレンチ(六角レンチ)を使って画像の3箇所のボルトを外し、丸いカバーを取り外します。
外すと分かる通り、あの丸いカバーってただの飾りなんですよ…。あの丸いのいりますか、ヤマハさん!?
お次はその下からでてきたボルトを含む、5本のボルトを5mmのヘキサゴンレンチ(六角レンチ)を取り外します。ボルトを緩めていくとオイルが垂れてくると思いますので、地面にウエスを敷いておくなどの対策をしておきましょう。
カバーが外れたらオイルフィルターがこんにちは。車だとオイルフィルターはエンジンの外側にねじ込まれているのが一般的だと思うけど、ドラッグスターの場合はこんな感じでエンジン内部に差し込まれているのです。
オイルフィルターは引っ張れば抜けるので、代わりの新しいフィルターをただ差し込むだけです。当たり前ですが、差し込む向きだけは間違えないように注意。
Oリングは繰り返し使えるのが利点ですから、明らかに潰れてなければ全然再利用可能。…なんですが、社外品のオイルフィルターにはこのOリングがセットになった商品もあり、わたしはそういったものを使うことが多かったもんですから、必要とは思っては無かったものの、毎度毎度交換していました。
カバーをセットして、5本のボルトをなるべく対角線上に少しづつ締めていきます。重要なのは一部のボルトだけを一気に締めないってことです。また、カバーをセットする時はOリングを噛み込まないように注意しましょう。
要らなそうな丸い飾りのカバーを取り付け、取り外したマフラーを取り付ければオイルフィルターの交換作業は完了です。2in1タイプの社外マフラーの場合、エキパイとサイレンサーの位置合わせや液体ガスケットの塗布が必要となるので、取り外しより一層メンドクサイ作業です。マフラーを取り付ける時はエキパイのガスケットも新品に交換しておきましょう。また、エキパイの取り付けボルトは焼き付かないように焼き付き防止グリス(なければモリブデングリス)を塗っておきましょう。