ドラッグスターのフロントフォーク倒立化① 必要なパーツの収集

 

 

フロントフォークをフルアジャスタブルにしたい!

バイク雑誌(スポーツ系)をパラパラ眺めていると、バイクを楽しく、そして気持ち良く走らせるにはサスセッティングというものがとても重要なんだとか。

サスセッティングというものが非常に大切で、しかもかなり奥の深いものだということは少し知識のあるライダーにとっては当たり前のことで、インターネットで少し検索してみるだけでも実に多くの人が関心を持っていることがわかります。

ドラッグスターはスポーツ系のバイクじゃないけど、雑誌にももっと気楽に調整してみようって書いてあるし、よし、私もやってみよう!

・・・と、雑誌に感化されて挑戦しようと思ったら、あれ!?肝心の調節機構が付いてなくない!?

そう、ドラッグスターというバイクに純正で採用されているフロントフォークにはセッティングの余地というものはほぼありません。変更できることと言えば、フォークオイルの突き出し量・フォークオイルの硬さと、その量位。調整するためのダイヤル系の機構は一切無いのです。

ドラッグスターというバイクのオーナーには、リジットサスに交換したり、無茶苦茶なローダウンしたり、全く動かないスプリンガーフォークやガーターフォークに交換する人が沢山います。よくよく考えないでも、車両価格を上げてまでフロントフォークの調整機構をつけることは、ユーザーからはあまり求められていない車種なのかもしれませんね。

でも、せっかく所有している大切なこのバイク。スポーツバイクのように、フロントフォークをもっと調整することができれば、もっともっとバイクが快適に、気持ちよく、そして楽しくなるんじゃないの?というか、サスセッティングしてみたい!

そう考えた私はドラッグスターのフロントフォークをフルアジャスタブルタイプに交換することにしたのです。

 

せっかくだから倒立フォークにしちゃおう

フルアジャスタブルのフロントフォークに交換したいんだから、何はともあれ交換するフロントフォークを入手しなければなりません。

せっかくだからカッコイイのがいいな~、と思ってヤフオクを徘徊していると、あ!こんなカッコいいのがあるじゃないですか!?

と、早速衝動的に購入したのがこちら。

倒 立 フ ォ ー ク !

こちら、ヤマハのスーパースポーツ、YZF-R1の純正フロントフォークです。

XJR1300のようなビッグネイキッドでも正立フォークを採用している位なのだから、ドラッグスターごときのパワーのバイクで倒立フォークにする必要なんて全然無いでしょう。それは、分かっているのです。でも、いかにも高性能っぽい頼もしい見た目にコロッとやられました。あ、これが愛車についたら絶対格好いいな、って。完全にミーハー心・・・。

何の下調べもせずに完全に勢いで購入しちゃったこの倒立フォーク。後々調べたら、どうやらYZF-R1でも初期型(~01年)のモデルに採用されていたものみたい。また、YZF-R1は02~03年のモデルではインナーチューブが太くなって、04年以降のモデルではブレーキキャリパーがラジアルマウントに変更されてるんだとか。

ってことは、04年以降のやつならもっとド派手な足回りにすることが可能だったのかー!?と少し後悔しましたが、どう考えても完全にオーバースペック。いや、そうでなくても十分オーバースペックだけれども。

ラジアルマウントのブレーキ周りは部品もとても高そうだけど、この01年モデルのフロントフォークならブレーキ周りを比較的安価に済ませられそうなのはメリットですね。というのも、ブレーキキャリパーの取り付けピッチがヤマハ乗りならお馴染みの100mmなので、キャリパーの選択肢が多いのです。ヤマンボやらMOSキャリパー等がボルトオンで装着できるはず。

ちなみに、この初期型のフロントフォークのインナーチューブ径はドラッグスターと同じΦ41mm。オイルシール・ダストシールがなんとドラッグスターと共通なんです。まさかの家に転がっていた予備部品が使えて、びっくり。

さて、衝動的とは言えこんな素敵なフロントフォークを買ってしまったのですから、早速このフロントフォークを取り付ける為の部品を揃えていきましょう。

 

必要な部品の収集

ステム

こちらは、フロントフォークと合わせて購入したYZF-R1の純正ステム。

当たり前なんですが、正立フォークと倒立フォークとではフォークをクランプする部分の寸法が全く違いますので、YZF-R1のフロントフォークを装着する為にはYZF-R1のステムごと移植する必要があります。

 

並べてみるとフロントフォークをクランプする部分の寸法の違いが一目瞭然。

ドラッグスターのフォーク取り付け部(インナーチューブ)が41mmなのに対し、YZF-R1のフォーク取り付け部(アウターチューブ)は50mmです。

 

横から。

ドラッグスターのステムシャフトがスチール製であるのに対し、YZF-R1のシャフトはアルミ製で、しかも中空構造!!そのお陰でステム自体がめちゃめちゃ軽く仕上がっていて、初めて持った時はとても驚いたものです。なだらかにカーブを描いて中央部分が細くなっているのは、少しでも軽くする為?なんだか機能美を感じます。

ヤマハ車はポン付けで他車種のステムを流用できることが多いので、あわよくばボルトオンで済むかも…と企んでいましたが、その企みは一瞬で砕け散りました。もうね、両車のステムシャフトは寸法が全然違うの。どう見ても、そう簡単には流用できないことが分かります。

どうやら、ドラッグスターにYZF-R1のステムを流用する為には、ステムシャフトを移植するか新造する必要がありそうです。

 

フロントホイール

こちらは、交換する倒立フォークに合わせて装着するホイール。フロントフォーク・ステムと同じくYZF-R1の純正部品です。運良く、新品かと思うような状態の良い物をかなり安価にゲットすることが出来ました。

 

驚くべきことに、ディスクキャリア部は中空構造になっており軽量化が図られているようです。すごく手が込んでる部品。流石はフラッグシップのスーパースポーツですね。

 

ホイールを取り付ける為のアクスルシャフトは純正部品を注文。その他にもついでにいろいろと細かい部品も注文しました。

ヤマハはネットでパーツリストが見ることが出来るので、わざわざパーツリストを購入しなくても部品の発注が出来るのがいいですよね。

・・・と思いきや、注文するアクスルシャフトの年式を間違えてしまい、全く装着出来ないアクスルシャフト一式を取り寄せてしまうという手痛い失敗をやらかしてしまいました。後日、今度は装着出来ないフロントフェンダーを取り寄せるという失敗もやらかしました。ずーっと同じような部品を流用するドラッグスターと違って、YZF-R1は年式によってコロコロ仕様が変わっているんですね。事前にもっと勉強しないといけませんでした。

 

正しい年式のアクスルシャフトを購入し直して、とりあえず室内で仮組みしてみました。

おお!むっちゃかっこいい…。

 

タイヤも新品を買ってきて、ホイールに装着。

これまでバイアスタイヤオンリーのバイク人生だったので、初ラジアルタイヤです。

 

ブレーキ周り

ブレーキキャリパーは手持ちの"ヤマンボ"を使用することにしました。

"ヤマンボ"はYAMAHAがXJR400等で純正採用していたbremboロゴの入ったキャリパーの俗称で、国内でのライセンス生産品なんだとか。

bremboが販売しているキャスティングキャリパー(鋳造製のキャリパー)はbremboの文字が白文字だったり、取り付けピッチが全然違ったりするので、見た目で容易に判別することが出来ます。人によってはそれより以前のbremboの外観に似せただけの金色のキャリパーのことをヤマンボと呼ぶこともあったりして少しややこしいんですが、まぁ俗称ですからね。

なお、入手したフロントフォークには元々"MOSキャリパー(住友電工製のモノブロックキャリパー)"が純正採用されているんですが、MOSキャリパーもヤマンボも取り付けピッチは同じ100mmですのでボルトオンで装着できます。MOSキャリパーの方が剛性が高いとされていますので、性能的にはMOSキャリパーの方が高いのでしょう。本当はMOSキャリパーを使いたいところですが、これも費用削減の為。揃えなければならない部品は他にも多くあるのですから。

 

ブレーキディスクもYAMAHA純正品を入手しました。

このブレーキディスクはYZF-R1のものですが、ブレーキディスクの取り付けピッチはこれまたYAMAHA内の多くの車種で共通となっておりますので、幅広い車種から流用が可能です。実はこの取り付けピッチはドラッグスターの純正ホイールでも同じ。つまり、ドラッグスター400の純正スポークホイールにも、このレーシーなセミフローティングディスクをボルトオンで装着可能なんですよ。

 

細かい部品ですが、ブレーキキャリパーの取付ボルトはYZF-1の純正部品を取り寄せ。

ブレーキ周りのボルトは安全性最優先なので、わたしは社外品は一切使用していません。そして、このボルトは純正品にも関わらずなんともカスタムチックで満足度の高い部品なんです。

ご覧の通り、質感がそこそこ良いのに加え、

なんと、軽量化の為に中空構造になってるんです!

このブレーキキャリパーの取り付けボルトは例によってヤマハの多くの車種で共通のサイズなので、例えばドラッグスターの純正キャリパーにもこのボルトを装着することが出来ます。

 

フロントブレーキは純正のシングルディスクからダブルディスク仕様に変更するので、マスターシリンダーのピストン径も併せて変更する必要があります。

これまでの部品同様、フロントブレーキマスターシリンダーもYAMAHA純正部品を使用しようと思ったのですが、YZF-R1等の純正ブレーキマスターはキャリパー同様にbremboのライセンス生産品であり、他車種流用用に人気が高いようで中古部品でも結構割高。

ブレーキ関係のパーツは中古を購入するとオーバーホールは必須なので、その部品代を考えるとマスターシリンダーは新品を買った方がコスパはいいです。各オートバイメーカーの純正セミラジアルもコスパは高いですが、やっぱり定番はDAYTONAから発売されているNISSINのラジアルマスターシリンダーですね。ラジアルならこれがコスパ最強だと思います。

 

NISSINラジアルマスターにはピストン径3/4(19mm)と11/16(17mm)の2種類がありますが、ダブルキャリパーに適合するのは3/4の方です。

 

ブレーキホースとフィッティング類はPLOTのSWEGELINE。ダブルキャリパーとなると必要となるホースやフィッティング類がシングルキャリパーの2倍必要となるので、これだけで結構な金額になります。ぐへぇ。

これらの部品のメーカーに特に拘りはないんだけど、フィッティングの素材には強い拘りがあります。フィッティングはアルミとステンレスから選べるのが一般的ですが、わたしは絶対にステンレスを選びます。というのも、アルミ製のフィッティングに対して強烈な苦手意識があるんですよね。ブレーキラインってフルード漏れを起こしたくないのでついつい強く締めてしまいそうになりますが、バンジョーボルトなどは内部が中空になっているので、アルミだと本当に呆気なくネジ切れてしまうんですよね。実際、今まで何回もねじ切った経験があります。

 

ハンドルバー

セパハンを採用しているYZF-R1のトップブリッジには当然、ハンドルポスト(ライザー)というものは存在しません。

将来的にはなんとか加工してバーハン化する計画ですが、簡単にポン付け出来るセパハンも試しに用意してみました。クルーザー系の低い車体にセパハンという組み合わせも独特なカッコイイシルエットになるので、昔から興味はあったんですよね。

この入手したセパハンもフロントフォーク同様YAMAHAの純正部品なのですが、YZF-R1のものではなく、多分YZF-R6あたりのものでしょう。外径50mmのフロントフォークならなんにでも付きそうですが、残念ながらトップブリッジに固定する為のボルト穴は合いませんでした。

 

スイッチボックスとクラッチレバーホルダーはドラッグスターの純正部品をそのまま流用する予定なのですが、ドラッグスターのハンドルバーはインチバー、今回入手したハンドルバーはミリバーなのでそのままでは取り付けできません。スッカスカでしっかり固定出来ません。

そんな問題を手軽に解決する為、このようなスペーサー類も準備しました。

ミリバーにインチバー用の部品を装着するなんてニッチなことだと思ってたら、意外と市販品であるもんなんですね。便利なもので、助かります。

 

早速、仮組みしよう

衝動的にフロント周りを倒立フォーク化したくなったわたし。

今回収集した部品で、とりあえずフロントフォーク倒立化で必要となる部品はだいたい揃った・・・はず?

ヘッドライトのマウントだとか、細かい部品は後々必要になってくるだろうけど、まずはYZF-R1のステムを装着出来るの?とか、ハンドルストッパーは機能するの?とか、タンクにトップブリッジは干渉しないの?とか、もっと大きな問題が多くあるので、まずはステムを装着してみて問題点を洗い出さないといけません。

YZF-R1の倒立フォークは無事ドラッグスターに装着出来るのか!?

 

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仮組みで分かったフロント倒立化の問題点

Contents1 ステムシャフトの加工2 スロットルスリーブの加工3 各パーツの仮り組み付け作業3.1 カーボンフロントフェンダーの装着3.2 ハンドルストッパーはそのまま使用可3.3 セパハンはク ...