素人が初めて行うMTBのバラ完。コラムカットとサスペンションフォーク・ブレーキパーツの組み立て

 

フレームは綺麗になった

サイズが合わなかったフロントハブもホイールの手組みで対応できた。

各パーツもだいたい揃った。

というわけで、今回はいよいよ各パーツをマウンテンバイクの形に組み上げていきましょう。

 

新品のサスペンションフォークの取り付け

コラムカット

今回準備したSR SUNTOURのサスペンションフォーク。26インチ用でエンド幅110mmってスペックシートには書いてあったのに、実際のエンド幅は100mm。そのせいでホイールの手組みをする羽目になりました

画像でもお分かりになるかと思いますが、新品のサスペンションフォークはいろんな組み方に対応できるよう、コラムはかなり長く作られています。なのでまずは自分に合わせた長さにカットしなければなりません。

使う道具はパイプカッター。

安いけど必要十分な機能をもつSK11のパイプカッターはこの作業ではド定番ですね。

 

まずはフレームにサスペンションフォークやステムをセットし、カット位置を決めて印をつけます。ビビりで貧乏性のわたしは当然長め。後々短くはできますが、逆は無理ですからね。

 

カット位置が決まったら、パイプカッターをセットして切断開始。切断と言うとスパッと切れるイメージですが、この工具は”溝を徐々に深くしていく”というイメージです。工具のお尻にある黒いノブを回して刃を食い込ませ、そのまま工具をグルっと動かして1周分の溝を切ります。溝が切れるともっと刃を入れることができますので、また黒いノブを回して刃を更に食い込ませ、最終的には切断に至るって感じです。

 

刃の押し込み具合にもよりますが、思っているよりもずっと簡単に切断できます。パイプカッター、すげー。

 

ただ、刃は一発で欠けました。このくらいの欠けなら機能的には全然問題ありませんが。

パイプカッターはお尻についてるダイヤルで刃の当たりを調整するのですが、強く押し当てると早く切れる一方で、このように刃が痛んでしまうようです。後述しますが、強く押し当てすぎるのは多分切断対象物であるコラム側にもよく無さそうな感じです。

 

スターファングルナットの挿入

サスペンションフォークやステムの固定はコラム内に挿入されたスターファングルナット(アンカーナット)で行います。しかしながら、新品のサスペンションフォークにはこのスターファングルナットは挿入されていません。スターファングルナットの挿入位置はコラム長により変わるので、コラムカット前の新品のサスペンションフォークにはメーカー側も挿入のしようがないのです。

スターファングルナットの挿入には専用の挿入工具が必要なんですが、どうやらこの工具は適当なボルトでも代用できるみたい。

しかしながら、スターファングルナットの挿入をミスるとリカバリーが大変みたいだし、挿入位置の調整も専用工具じゃないと少し面倒くさいみたい。なので今回は大人しく専用工具を買いました。ケチるほどの金額でもありませんし。

 

今回購入したのはこちら、ギザプロダクツから販売されている挿入工具。アンカーナット セッターという工具です。挿入用工具は安いものは1,000円ちょっとからあるし、もっと高価なものもあります。今回購入したものは価格帯としては真ん中くらいでしょうか。お値段を考えると、この製品の造りは十分よいと感じました。カチッとしてて精度が高そうだし、仕上げも綺麗です。

 

使い方は簡単。まずはコラムにスターファングルナットを乗せます。

 

そしてその上からパイプ状のガイドをセット。このガイドに沿ってスライドハンマーが動くので、ナットを真っ直ぐ挿入できるわけですね。

・・・と、予想ではこのガイドが簡単にセットできるはずだったんですが、最初このガイドがさっぱりコラムにセットできなかったのです

 

なんでだろー?ってすごく不思議だったんですが、どうやらパイプカッターでコラムカットをすると、切断箇所の径がやや太くなってしまう様子。刃を押し当てるので、その両側が僅かに膨れてしまうのでしょう。このガイドの精度がめちゃくちゃ高く、コラム外径とほんとうにピッタリなので、僅かでも太くなったコラムでは入らないのです。ガイドの精度が高いのはとてもいいことなんですが、コラム側にも同じくらいの精度を求められるということです。

なのでガイドがセットできるようになるまで、コラムを根気よく削って対応しました。多少削りすぎても問題はないんですが、高価な部品なのでやっぱり失敗はしたくありません。時間を掛けて少しづつ削っていきます。

 

ガイドをセットできるようになったら、いよいよナットの挿入です。スターファングルナットとガイドの上にそっとスライドハンマーをセットします。

 

あとはそのままスライドハンマーをプラハンなどで叩いたら、ちょうどいい深さまでナットを挿入してくれるというわけ。真っ直ぐ打ち込む為のガイドは、ナットの挿入深さを適切にするストッパーの役割も果たしているのです。

 

挿入されたスターファングルナット。ガイドをセットするためのコラムの修正にはかなりの時間が掛かったけど、スターファングルナットの挿入自体は一瞬です。ほんの数秒の作業。

 

コラムは結構削ったつもりでしたが、挿入後、ガイドがかっちり嵌っていてなかなか抜けませんでした。潤滑剤を吹き、木材を介してガイドをコンコンとハンマーで叩いてなんとか取り外すことができました。コラムのカット方法といえばパイプカッターが定番ですが、切断面の処理にはなかなか注意が必要ですね。

 

ベアリングアンダーレースの打ち込み

スターファングルナット同様、新品のサスペンションフォークにはベアリングのアンダーレース(クラウンコーン/Crown Cone)を打ち込む必要があります。ヘッドセットと呼ばれるネックベアリング周りの部品の一つですね。ここらへんの部品の呼び方はバイクとはかなり違うので、時々ごっちゃになってしまいます。

 

アンダーレースですが、人の手で挿入できるのはせいぜいこの程度。奥まできっちり挿入するにはそれなりの道具を揃える必要があります。

理想なのは専用の挿入用ジグとプレスを使ってじっくり均等に押し込む方法でしょう。バイクだろうが自転車だろうが、プロならきっとこの方法で行っているはず。

現実的なのは、コラム外径に近い内径の塩ビパイプでコンコン叩いて挿入する方法。DIY感全開の方法ですが、バイクだろうが自転車だろうが、我々素人はこれで充分でしょ。

だけど、わざわざ塩ビパイプを買うのすら面倒臭いわたしは、また別の方法をとります。

 

それがこれ。

サスペンションフォークに新しいレースをセットして、その上に古いベアリングをセットして、そしてその状態でフレームに差し込み、コラムを締め込むことでレースを挿入するのです。

 

良し悪しは分かりませんが、ちゃんと挿入できました。この方法は傷んでもいい古いベアリングがないとできませんが、レースを均等に、かつ衝撃を与えることなくセットできるよい方法だと思うのですが、どうでしょうか?

 

サスペンションフォークの組み立て完了

ここまでくればあとは簡単。新品のベアリングを使ってサスペンションフォークやステムを取り付けるだけ。

コラムのカットをビビったせいでなんとも格好悪い見た目になっていますが、まだ乗っていない自転車なのでご勘弁を。ある程度乗り込んでハンドルバーの高さが決まったら、ちゃんと適切な長さにカットし直したいと思います。

 

足周りの組み立て

フレームにサスペンションフォークとフロントタイヤを組み付けました。もうすでにこの時点でバチクソカッコ良すぎて、テンションあげあげです。

 

リアサスペンションとスイングアーム、リアホイールも組み立てました。ここらへんは元に戻すだけですから、これまでの苦労とは比べものにならないくらい、組み立ては簡単。バラシ時にはサスペンションの取り付けボルトには油っ気が全然無かったけど、今回の組み立てではしっかりとグリスアップしておきました。

 

ブレーキパーツの取り付け

バイクや車ではいつもお世話になっている油圧式ディスクブレーキですが、自転車用となると今回が人生初めて。仕組み自体は全く同じですけど。

自転車の油圧ブレーキに関してはものの良し悪しが全く分からないので、とりあえずシマノの普及グレードで構成されているセットものを選びました。もし不満を感じたら後々グレードアップしたらいいしね。

今回購入したブレーキパーツはマスター、ホース、フルード、キャリパー、ディスクがセットになっており、かつフルードまで充填されている初心者向けのセット。どこかのショップが販売しているオリジナルセットです。お値段を考えると決して悪くはない内容なんだけど、このディスクだけはあまりよく無いことが後々分かります(実はディスクだけシマノ製じゃない)。

 

ブレーキレバーはシマノのBL-MT200。多分、シマノの油圧用ブレーキレバーとしては一番安いやつ。MTB用というよりかはクロスバイクとか街乗り自転車用じゃないでしょうか。

 

キャリパーはシマノのBR-MT200。レバー同様こちらも油圧ブレーキとしては最も安価なものだと思うけど、ブレーキの効きを決めるのはキャリパーじゃないしね。低グレードとはいえばシマノの製品だから大外れってことはないでしょう。

※この考えは間違いではないけど、後々のグレードアップを考えるとナローディスク用のパッドに対応したキャリパーにしておいた方が良いということが後々分かりました。シマノの製品の互換性って本当にややこしくて分かり難いんですよね。

 

自転車用のブレーキってびっくりするくらい小さくて、バイク用のブレーキと比べるとまるでおもちゃのようです。車体も軽いし、速度域も低いから当たり前なんだけど。

 

スライドピンが割りピンなのはビビりました。これはこの商品のグレードが低いから?でもMTBってフリクションロスが~とか気にする必要もないだろうし、軽さやコストを考えるとこの割りピンはとても合理的なのかもしれません。

 

ブレーキディスクはシマノ製ではなく、Avidの安いやつ。前後共160mmです。Avidはアメリカの会社らしいですが、ネット上の評判はあまり良くない様子。価格が安い商品についてはある程度は仕方がないとは思いますが・・・。先程も少し触れましたが、わたしにとってもこいつは少々微妙でした。街乗りなら十分だったんですが、山で使うには制動力が足りなさすぎたのです。タイヤがロックして地面の上を滑るのは仕方がないけど、こいつはそもそもタイヤがロックするまで止まらない!

このディスクはボルト6本で固定するオーソドックスなタイプなんですが、最近のシマノのハブはスプラインで固定する方式のものしかありません。今回フロントにはそのような最近のハブを使っているので、変換アダプタ(シマノのSM-RTAD05)が必要となります。

 

アダプタ使用時は、まずは付属のネジでアダプタにディスクを固定し、そのアダプタを介してロックリングでハブに固定します。この取り付け方法って随分重たそうな見た目をしていますが、どういうメリットがあるんでしょうね。取り付け強度が上がるのは間違いないと思うけど、以前の6穴方式で強度が不足していたというわけでもないですし。

 

ブレーキディスクを固定するロックリングには2タイプあるので注意が必要です。左側が今回使用する外スプライン(外セレーション)タイプ。右側がロードバイクなどで使用される内スプライン(内セレーション)タイプ

わたしはシマノパーツを使うことが圧倒的に多いですが、ディスクなどのパーツ選びがいちいち分かりにくて、面倒くさく感じます。ナロータイプとワイドタイプとか、ほんとうにわけがわかりません。いろいろと新しいことに挑戦した結果パーツの互換性や組み合わせがややこしくなるのは理解できるけど、その解説が公式にはほぼなく、我々ユーザーは個人のホームページやブログの解説だよりっていうのはどうかと思います。

 

ブレーキも規格化されたパーツなので、組み付けはとても簡単。写真を撮りながらのんびりやっても15分くらい。ディスクとのセンター合わせさえしっかりすれば、あとはVブレーキのような面倒な調整が不要なのはディスクブレーキのメリットのひとつですね。ただし、プロの方はそのセンター合わせにいろいろとノウハウやテクニックをお持ちのようですので、ブレーキはしっかりと組みたいという人は迷わずプロにお任せしましょう。

 

あとは駆動系パーツだけ

というわけで、随分とマウンテンバイクらしい見た目になりました、わたしのゲイリーフィッシャーケーキ2GS。

画像ではクランクなんかも付いていますが、結局手持ちのエスケープR3の部品は使わず、駆動系一式は新調することにしました。その作業はまた次回ご紹介します。

 

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