リアホイールベアリング交換

こちらは中古で入手したビューエルXBモデルのリアホイール。

とてもかっこいい黒色のカラーホイールなのですが、残念なことにホイールベアリングの動きが渋く、そのままでは使用できそうにありません。そこで、ホイールベアリングを交換してこのホイールを使用できるようにしたいと思います。

ところで、ビューエルXBモデルのアクスル周りは少し特殊な作りをしておりまして、ホイールカラーとダストシールがないのです。ベアリングが外部に露出しており、シールが露出したままのホイールを車体に取り付けるのです。

ベアリングの耐久性やホイールのセンター出しに問題ないの?と素人のわたしは気にもなったりする構造ですが、一方で部品点数が少なくなるので、ばね下重量は一般的な構造よりも軽くなるかもしれませんね。

なお、ベアリングの交換方法は他の一般的なバイクと同じような手順なので、工具さえあればそう難しいものではありません。

 

ベアリングプーラーでベアリングを取り外そう

ベアリング交換の肝となる工具、ベアリングプーラー

ベアリングプーラー(ベアリングを引き抜く工具のことね)は、内掛け式と外掛け式の2種類に分けることができるんです、こいつは内掛け式。穴に埋もれているベアリングを、ベアリング中央の穴に工具を引っ掛けて抜き取る仕組みです。

 

XBのリアホイールベアリングの内径は30mm位なので、30mmのアタッチメントが必要になります。 いろいろ探してみましたが、30mmのアタッチメントが付属しているプーラーセットってあまり売っていませんでしたので、工具の選択肢はそれ程多くないように思います。私は輸入物の安物セットを購入しましたがそれでも12,000円程の費用が掛かりました。安物のはずなのに高い・・・

 

早速、リアホイールのベアリングに30mmのアタッチメントを取り付け。
内径30mm用ですが、アタッチメントの先端は広がっているのでスコッと簡単に取り付けることができません。プラハンで軽くコンコンして押し込みます。

 

コンコンしたらアタッチメントはすんなり入ってくれます。
アタッチメントの爪がベアリングとディスタンスカラーの隙間に入っている状態なので、もう人力ではこれ以上押すことも引くこともできません。

 

簡単な図ですが、ホイールベアリングの断面はこのような構造をしています。windowsのペイントで頑張って書きました。

ベアリングは複数の金属製の丸い球が2つの金属の輪っかに嵌っている構造をしております。その金属の輪っかの内側をインナーレース、外側をアウターレースと呼びます。
これらの部品は一見一体化しているように見えますが、実際は軽く繋がっているだけでの別々の部品。なので、アウターレースとインナーレースは別々に固定する必要があります。アウターレースはホイールに嵌め込むことで、インナーレースはディスタンスカラーとフロントフォーク(ビューエル以外の車種だとホイールカラー)でそれぞれ固定されます。

 

実際の作業に戻りまして。まずは先ほど装着したアタッチメントにプーラー本体を組み上げます。

 

適当なレンチで回り止めをして、六角レンチでプーラー先端部を半時計周りにぐりぐりと回すと・・・

 

ゆっくりとベアリングが抜けてきて・・・

 

無事ベアリングを取り外すことができました!

ベアリングプーラーは決して安価なものではありません。その為、代替手段として、マイナスドライバーで反対側から叩き出したり、建築用のアンカーボルトを使用してベアリングを取り外す方法があります。私も以前はそのような方法を行ったことがありますが、きちんとした工具を使った時と比較すると、その難易度は雲泥の差。ベアリングプーラーを使用するとむちゃくちゃ簡単でした。

いろいろ探したけど、30mm対応のベアリングプーラーってなかなかありませんでした・・・。私は楽天で発見。セットに拘らず、アタッチメント単品で揃えるのもアリかな?

 

ベアリングを取り外すと中からディスタンスカラーがでてきます。ディスタンスカラーはホイールベアリングのインナーレースの位置を決定する重要な部品。スポーツバイクらしく、アルミで軽くできています(以前所有していたヤマハのドラッグスターは鉄製だったなぁ。

 

取り外したベアリングを観察しよう

取り外したベアリング。シール部分(赤い部分ね)の表記から、NTN社の製品であることがわかります。記載されている品番は6006LU

あれ?LU?

いろいろ調べてみると、LUっているのは片側のみシールされているタイプの品番みたいなのですが、取り外したベアリングはどう見ても両側シールタイプ。

両側シールタイプだとLUではなく、LLUじゃないの?

もしかして、LLUはLUのシールを流用して、両側につけているだけ?メーカーの事情なので素人のわたしにその理由を確かめるのは難しいですが、BUELL XBのホイールベアリングは絶対に両側接触ゴムシールタイプなので、6006LLUが正しい品番になるはず。

 

そして、側面には製造国と隙間の規格が記載されていました。購入したホイールについていたものがバイク製造時のものかは分かりませんが、台湾製のC3タイプ。バイクに使用するベアリングだと、C3が多いみたいですね。

純正ベアリングの製造元であるNTNで同等品となると、この6006LLUC3になります。純正よりずっと安い!!

 

NTN製ベアリングと純正ベアリングの比較

新品のホイールベアリングが届きました。

BUELL純正部品ではなく、NTNの製品です。純正のホイールベアリングがNTN社のものだと分かったので、記載されている品番を頼りに同等品を発注しました。

6006の両面接触シールタイプ(LLU)の、隙間がC3のものですので、品番は6006LLUC3となります。価格は1個450円程。純正部品と比較するととっても安いですね。

 

「ベアリングなんて規格化された工業製品なんだし、純正じゃなくても大丈夫でしょ?」と99%位は思っているのですが、1%位の僅かな不安もあります。そこで、取り外した純正品と比べてみました。

左が取り外した(多分)純正ベアリング、右が今回購入したもの。当たり前なんですが、パッと見た感じは同じものです。

そうそう、ベアリングは両面接触シールの"LLU"で注文しましたが、届いたベアリングのシール部の表記は"LU"でした。LLUでもLU表記されているのは間違いではないことが分かりました。

 

よく見ると、僅かに異なるのがシール部の表示。純正ベアリングが"NTN 6006LU"としか記載されていないのに対して、今回購入したものには"JAPAN"が追加されています。

また、純正ベアリングには側面に「TAIWAN C3」という表記があり、台湾製のC3規格であることが分かります。手持ちの3台分のホイールをバラシましたが、全部同じベアリングが入っていたことからも、純正がその仕様なのは間違いなさそう。一方で、今回購入したやつには側面の記載は何もありませんでした。

それらのごく僅かな違いはありますが、純正ホイールベアリングと今回入手したNTNの製品は同じものとみなして大丈夫そう。純正は台湾で製造したものだけど、日本から注文したNTNの製品は当然日本で製造したものが届きました、といった感じでしょうか。

 

ベアリングの組付け

新品のベアリングをホイールに取り付けます。

ホイールベアリングの組み付け手順は車種によって異なるので、マニュアルを確認する必要があります。ホイールベアリングの位置が正しくないと、チェーンラインやブレーキディスクのセンターがでなるので結構重要なことなのです。

ビューエルXBモデルの場合、マニュアルによるとまずブレーキディスク側のベアリングから作業するように明記されていました。

 

当たり前なのですが、ベアリングをホイールに組み付ける時は専用の工具か、代替手段が必要となります。

ベアリングの組み付けと言えば、事前にベアリングは冷凍庫でキンキンに冷やして、逆にベアリングを取り付ける穴の方はヒートガンで温める作業が有名ですね。温められた穴の方は熱膨張で穴が大きくなるし、冷やされたベアリングはその逆で縮むので、スムーズにベアリングが入るという理屈です。

クランクケースのベアリングなんかはそれだけでスコッとベアリングを組み付けることができるようですが、このホイールベアリングに関してはその作業の効果は全く実感できませんでした。

ホイールベアリングとその取り付け穴は、かなりキツメの寸法に設計されていると聞いたことがありますが・・・本当なのでしょうか?

 

これまではベアリングはいっつも適当なソケットで叩き入れていたのですが、今回はきちんと丁寧に作業がしたくなったのでこんなものをホームセンターで買ってきました。
これで簡易的なインストーラー(挿入する工具)を作ってやろうっていう訳です。

 

こんな感じで、新品ベアリング ⇒ 旧ベアリング(挿入冶具代わり) ⇒ 角座金平ワッシャー ⇒ ナット の順に組みつけ。ナットを絞め込んでいけばベアリングが押し込まれていく仕組みですね。

この方法ならベアリングを叩かないので、ベアリングのダメージを軽減できそうです。また、叩き入れるよりもベアリングを真っすぐに入れることができるはず。

 

無事挿入できました。マニュアルの指示通り、ブレーキディスク側のベアリングは一番奥まで挿入します。

 

ホイールをひっくり返して、プーリー側。まずはディスタンスカラーをセット。

ディスタンスカラーはベアリングのインナーレース(内側の輪っか)の位置を決める重要な部品なので、こいつとベアリングのインナーレースがちょうど接触する直前位にベアリングをセットする必要があります。よく見るとディスタンスカラーはベアリング取り付け部から僅かに(いや、結構?)飛び出ていますので、何も考えずに奥までベアリングを叩き入れるとディスタンスカラーとベアリングに良くない力が掛かってしまいます。

 

ざっくりとしたイメージは、こんな感じ。windowsのペイントで頑張って書きました。

 

そのような理由で、ドリブンプーリー側のベアリングの挿入は慎重にしなければなりません。こういう場合の時こそ、ねじ込み式のベアリングインストーラーが便利。

今回285mm長の全ネジボルトを使いましたが、リアホイールに使用するにはかなり短かったです。350mm位あるとストレスなく作業できるかな?

ディスタンスカラーの遊びと、ベアリングの動きをマメに確認しながら少しづつ挿入していきます。

ディスタンスカラーの遊びがなくなる位までベアリングを挿入します。それ以上入れると、途端にベアリングの動きが悪くなりますのでやり直しですね。

この一連の作業、もちろんハンマーとかでも代用できますが、少々コツが必要です。
均等に力を加えられるよう、適当なソケットや古いベアリングを重ねて叩くのがセオリーですが、それでもなかなか真っすぐは入らないもの(特に入れ始め)。その場合、プラハンを使って直接ベアリングのアウターレースをかる~い力で少しずつ、均等に叩いてやるとよいですよ。
ある程度真っすぐ穴に入ると、そこからは斜めになることはほとんどないので、今度はセオリー通りソケットなどを重ねて叩き入れてやりましょう。

さぁ、これで新品のベアリングを取り付けることができました。純正ベアリングは高価ですが、NTN等の汎用品なら安いものなので、皆様も挑戦してみては如何でしょうか?

 

フロントホイールのベアリング交換はこちらの投稿をどうぞ。

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フロントホイールベアリング交換

Contents1 中古ホイールをゲットしたら、まずベアリング交換2 古いベアリングの取り外し3 フロントホイールベアリングの品番は?4 新しいベアリングの取り付け バイクにはたくさんのベアリングが使 ...

 

おまけ情報

時々ヤフオクで「前後ホイールベアリングセット(純正品)」なるものが売られているのを見かけます。当然お値段は少々高め。でも、資料用にどうしても欲しかったので、一回購入したことがあります。しかし届いたのは、buell純正のラベルのものではなく完全にNTNの製品でした・・・、というとっても悲しい思いをしたことがあります。いやまぁ、純正品と同等なのは間違いないのですが・・・。
皆様もどうか気を付けください。