バイクにはたくさんのベアリングが使われていますが、それらの中でも定期的な交換が必要になるのが、ステムベアリングとホイールベアリング(ハブベアリング)。
リアのホイールベアリングの交換は以前ご紹介しましたが、今回はフロントのホイールベアリングの交換作業のご紹介です。作業自体はリアとほとんど同じですので、リアが出来た人はこちらも是非挑戦してみましょう。
以前紹介しましたリア側の作業はこちらのページをどうぞ!
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リアホイールベアリング交換
Contents1 ベアリングプーラーでベアリングを取り外そう2 取り外したベアリングを観察しよう3 NTN製ベアリングと純正ベアリングの比較4 ベアリングの組付け5 おまけ情報 こちらは中古で入手し ...
中古ホイールをゲットしたら、まずベアリング交換
わたしのXB9RはXB系Buellとしては最初期の2003年モデルで、その年式ではアルミ地にクリアー塗装したホイールが採用されています。
そう、こんな感じ。
しかしながら、このバイクを入手した時からその質感がどうにも好きになれないんですよね。いや、シルバーとかアルミ地自体は全然嫌いじゃないんだけど、あまりにも仕上げが安っぽいんです。磨きが入っていないばかりか、スポークとかハブなんてアルミ鋳造時の梨地がばっちり残ってるんですよ?大型バイクなんて趣味用途がほぼ大半なんだから、ここらへんの仕上げは頑張って欲しかった…。
XBモデルでは高年式のモデルでは美しくパウダーコートがされたカラーホイールが採用されていたので、ずーっとそれらのカラーホイールに交換したいと考えておりました。というか、最初っから採用してよ、Buellさん!
しかしながら、Buell社が既にこの世にない為か、一度販売店にオーダーしたものの6年以上音沙汰無し。では中古ではどうか?と思ってひたすらヤフオクを徘徊しても、出てくるのは状態の悪い物ばかり。そもそもフロントホイールは転倒等でダメージを受けやすいので、リアホイールよりも流通量が少ないですね。
もう、中古のホイールをバフ掛けしたり、塗装に出した方が早いんじゃね?と思いながらも、結局数年間シルバーのホイールを使い続けてきたのです。金銭的にあまり余裕も無かったし、直したりグレードアップさせなきゃいけない場所は他にもいっぱいありましたからね。
しかしながら、出会いは当然訪れるものでして…
ある日あっさりと念願の高年式のカラーホイールをゲット出来たのです。しかも、擦り傷すら見当たらない極上品!しかも、格安!
しかしながら、早速今回入手したホイールのベアリングをチェックすると、ゴリゴリした感じはないもののなんだか動きが渋い感じ。ディスタンスカラーも全然動かなかったから、ベアリングが打ち込まれ過ぎているんじゃなかろうか…と推察。流石にメーカーでこんな仕事はないだろうから、多分過去にベアリングが交換されているのかも?
今回入手したホイールは見た目だけは新品かと思うような状態ですが、実際どのような使われ方やメンテナンスをされていたかまでは分かりません。ホイールベアリングは車体の安全性や走行性能に及ぼす影響が大きい部品なので、中古のホイールを入手した時は問答無用で交換しましょう。安い部品だしね。
古いベアリングの取り外し
何はともあれ、まずはゴリゴリした感触の古いベアリングを抜き取らないと始まりません。リアホイールベアリングの時と同じようにベアリングプーラーを使ってベアリングを取り外します。
フロントホイールのホイールベアリングの内径はざっくり25mmくらい。
なので、ホイールベアリングには25mmのアタッチメントが使えそうです。
25mmのアタッチメントをベアリングに食い込ませましょう。少しキツイ時は、プラハンでアタッチメントをコツコツと軽く叩くとスコンと入ります。無茶苦茶キツイ時は、無理矢理叩き込まずにワンサイズ小さなアタッチメントに変更しましょう。※わたしは25mmでOKでした。
プーラーを組み立ててクルクル回せばすぐにベアリングを取り外すことができました。
わたしが使っているベアリングプーラーは安物ですが、今までベアリングが外せなかったことは一回もありません。DIYではマイナスドライバー等でベアリングを叩き出す方法もよく知られていますが、それと比べると雲泥の差。やはり専用工具はとても便利!特殊工具類は安物でもいいのであればとても役に立ちますよ。
フロントホイールベアリングの品番は?
純正ベアリングの値段を知ると気軽に交換する気も失せますが、BUELL XBのホイールベアリングに関しては純正じゃなくても安価に入手できる代替品を使うことができます。
取り外すしたベアリングはNTN製。リアホイールの時のような "TAIWAN C3" の表記はありませんでした。リアホイールベアリング交換の時にわたしが取り寄せたNTN製のベアリングにもそのような表記が無かったから、やっぱりこの入手したホイールは以前に誰かが、しかもDIYでベアリングを交換したのかも。
こちらが今回用意したNTN製のベアリング。リア用よりも内径・外径共に一回り小さいサイズ感。
6005の両側シールタイプ(LLU)の隙間はC3で、型番は6005LLUC3となります。相変わらずシール部での表記は "LLU" ではなく "LU" となっています。
今回使用したNTN製のベアリングはこちら。
新しいベアリングの取り付け
新品のベアリングを取り付けるんですが、ホイールベアリングには組み付ける順番が決まっていて、それは車種毎に異なります。なのでサービスマニュアルは要チェック。
どれどれBUELL XBの場合はどうだろうとマニュアルを確認すると・・・
"On single disc wheels, always install the brake disc side first.If the wheel has two brake discs, install the left bearing first."
と記載があります。これって、
"シングルディスク車は常にブレーキディスク側からベアリングを組みつけなさい"
ってことですね。ん?Buell専用のマニュアルのはずなのに、なんだか汎用っぽい表現だなぁ。
最初に打ち込むブレーキディスク側は、マニュアルでは"ハブと面一になるまでで"って書いてありましたが、こういう圧入工具を使う場合は圧入できるだけ圧入すればいいので簡単(圧入工具がハブに当たるから、面一までしか締め込めない)。圧入工具って言っても、ホームセンターで買ってきた金具類で作った簡易工具です。
無事ベアリングを取り付けることができました。こっち側は特に難しいことはないかと思います。
ホイールをひっくり返して、ディスタンスカラーを中にセット。ディスタンスカラーはベアリングのインナーレース(内側の輪っか)の位置を決める大切な部品です。流石に試したことはないけど、これがないとベアリングのインナーレースの位置が定まらないので、速攻でベアリングがダメになる…らしい。
残るもう一つのベアリングを取り付けるのですが、こちらはなかなか厄介。というのも、こちらの打ち込み具合で左右のベアリングに挟まれているディスタンスカラーの位置関係が決まるので、慎重に調整しなければなりません。
打ち込みが浅いとベアリングの内輪の遊びが増えて長持ちしないし、打ち込み過ぎると明らかに動きが渋くなります。
締め込むタイプの工具だとディスタンスカラーとのクリアランスや動きを確認することが出来ない(面倒臭い)ので、わたしはDIYでは昔ながらの方法であるハンマーで打ち込む方法でやってます。いけない方法なのは分かってるけど、色々試した結果わたしにはこれが一番簡単・確実。
ベアリングの外輪を叩く、全体を満遍なく叩く、古いベアリングを重ねて叩く、の3点が注意点でしょうか。
打ち込みは少しづつ行い、その都度ベアリングとディスタンスカラーの隙間と動きを指でチェック。ボルトで締め込みタイプの圧入工具がセットされていると、なかなかこうやって目視や指で確認することが出来ないんですよね。
これ位で大丈夫かな?
正直なところ、ここの打ち込み具合はどの程度がベストかはまったく分からないし、自信もありません。というのも、アクスルシャフトを締めるとここのクリアランスも変わるそうで…(ほんまかいな?)。このホイール単体の時点でベアリングの動きが渋いのは全く問題外ですが、アクスルシャフトによる締めつけってどの程度考慮する必要があるんでしょうね。
ベアリング交換が終わり、ついにわたしのBuellさんに念願のカラーホイールが装着されたのです。うん!期待通りのかっこよさで大満足!
ベアリング交換作業ですが、ディスタンスカラーのクリアランスや、アクスルシャフトの締め込み具合等、細かいことを気にし出したらどこまでも拘ることが出来そうな奥の深い作業です。しかしながら、作業自体はベアリングプーラーさえあれば挑戦することが出来ますし、正常に走らせるだけなら無茶苦茶シビアな作業という訳でも無さそう。DIYでも比較的挑戦しやすい作業かと思いますので、是非ともベアリングプーラーを購入して挑戦してみては如何でしょうか。
いろいろ探したけど、リアホイールベアリングにも使える30mm対応のベアリングプーラーってなかなかないんですよね。私は楽天で発見したのですが、時期によっては全く見つからないことも。セットに拘らず、アタッチメント単品で揃えるのもアリかな?